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昔の世界での人生は本当悪いこともあれば良いこともあるみたいな平凡な人生やった。それが俺にとっては凄く幸せなことで、だから藍華にその人生が崩されたのが許せなかった。昔の世界でまたその人生を歩めるなら俺は帰りたいと思う…筈やった。でもこの世界での波乱な人生も楽しくて堪らなくて、あまり欲を出さない俺が柄にもなく両方欲しいなんて思ってしまった。そんなこと、出来る筈がないのに。どうしよう、と考えているうちにいつの間にか夜中になっていて俺はかなり遅い睡眠を取った。やからやろうか、俺は無意識に五時半にセットした目覚まし時計を止めていたらしい。

「―…ぜん、…財前起きぃや」

遠くで聞いたことがあるような声がした。テノールの綺麗な声や。でも寝不足の俺には雑音でしかなくて、枕に顔を埋めた。

「財前!…しょうがないやっちゃなぁ」

くすりという笑い声と共に体が暖かいもので包まれる感覚がした。何や、温かい。それと微かに薬品の匂いがする。…………薬品の匂い???少しずつ意識が覚醒してきて、うっすらと目を開けた時やった。

「財前、お早うさん。何時も体温低いけど寝起きは少し高めなんやなぁ」

超いい笑顔した白石部長の顔が何故か眼前にあった。いや、いやいや。いやいやいや。…イヤアアアアアっ!!!!!!?何で部長が俺のベッドに居んねん!添い寝なんて頼んだ覚えないんやけど!!?

「部長、何で居るんすか」

内心絶叫しながら顔は冷静やった。流石俺。

「財前を迎えに来たんやで〜。土日来んかったやろ」

「熊本行くてメールしたやん。しかも月曜は朝練ないっすわぁ」

「おん。知っとるで!でも日曜にミーティングしてん、資料持ってきたんやで」

何でわざわざ家まで?ていうか何で家の住所知っとるん。部長から受け取って(寝転んだままやったけど)それを近くにあった机に放り投げる。

「部長、退いてくれへん?」

「財前なんやええ匂いすんなぁ、シャンプー何使っとるん?」

話を聞けや!!
部長は俺の頭を抱えるようにして抱き締め擦り寄ってくる。ちょっ、あんま匂わんといてや!昨日あの夢のせいでめっちゃ汗かいてんねん。緩く抵抗してみるが意外と力が強くてがっちりホールドされてて動けん。

「部、長…!離してや!」

「まだ駄目や。…んー、絶頂!」

絶頂て…変態みたいや。暫くの辛抱やと思ってじっとしとったら部長の顔が首筋に埋められて息がかかった。俺の体が擽ったくてびくんと跳ねたのを見て部長はくすくす笑う。部長の悪戯心に火をつけたのか部長が俺の体を擽る。…部長、それセクハラっすわ。

「っぁ、ちょ…嫌や!」

「財前敏感なんやなぁ」

「く、ふはっ…んん、ひ、ぁ」

ちょっアカン、アカンで!脇腹は弱いねんっ!足をバタつかせて暴れるが部長はさらに脇腹を中心に擽ってきて思わず笑ってまう。

「あか、ん…あかんって…!」

白石部長がにやりと笑って俺にのし掛かってきたその時、俺の部屋の扉がノック音がしたあとに開いた。

「光君、学校遅れ…………………ごめんなさいっ!!!」

「「え?」」

入ってきたのは義姉さんやった。俺らを見ると一瞬呆けたあと、真っ赤になって飛び出していった。何やねん、そう思ってハッとした。目の前にには天井と部長の顔、右手はベッドに縫い付けられとって、左手は部長の肩に。いい具合に俺のスウェットも乱れとる。端からみたら…うん、まぁそんな風に見える。

「…ざ、財前堪忍な」

「…最悪や。どないするん」

なんか義姉さんには誤解させてばっかりや。千里さんといい部長といい、最低。変なもん見せてごめん義姉さん。




2010.4.1
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白石君が変態ですみません← でもそんな白石君が好きなんです(^^)色んな意味で危ない話になってしまった(笑)

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