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何か俺はフェロモンか何か出とるんやろか?よう男に好かれる気ぃすんのやけど。小学生の頃もストーカーに合ったし、この体になってからの初告白も男からやった。男専用フェロモン?…最悪や。そんなん要らんわ。まぁ確かに左右に別れた道筋を無視して真っ直ぐ突き進むような(いや何やねんそれ)そんな感じの波乱な人生送ってきたけど、これは無いやろー。

「いや、俺千里さんのことそういう風に見れないっすわぁ」

「そんなのまだ分からんばい!」

アカン、この人本気や。千里さんの腕をほどき離れてみるが俺が一歩下がると千里さんは一歩進む、みたいなことになってん。いつの間にか俺は壁に追いやらとった。

「俺、今日大阪帰るし」

「番号とアドレス教えるけん、電話して欲しか。光君携帯持っとっと?」

「持ってはるけど」

千里さんがニコリと笑い手を広げたので思わず携帯を差し出してしまった。あああアカンっ!中学に入ってそういうこと多かったからつい条件反射で渡してもた!ついでに千里さんの携帯も渡されて番号とアドレスを入録しとる俺がいた…。ていうか赤外線じゃあかんの、これ。千里さん赤外線知らんのやろか。

「登録したばい!」
「…俺も登録終わったで」

満面の笑みを浮かべ千里さんに携帯を返される。嗚呼、交換してもた。出そうになるため息を噛み殺すと千里さんを見た。千里さんはめっちゃ嬉しそうに笑っててその表情を見ていたらまぁええか、なんて思った。

その後も前みたいに他愛ない話をした。驚いたんは千里さんの下駄って片方六キロもあるんやて!千里さんはその下駄で天気占いするばい!言うて(ほらあるやろ、靴を飛ばして落ちた角度で天気を占う遊び)下駄を飛ばそうとするんやけど、その下駄片方六キロやで。ごっつ危ないやん!!!全力で止めたわ。千里さんは不満そうやったけどな。そういう話をしとる内に時間も直ぐにたって、俺は病室まで千里さんに送ってもらうことになった。別に大丈夫やったんやけど千里さんが送る言うて聞かんかったからしゃーない。

「あっ千里さんそこの病室すわぁ」

「了解たい!」

俺がさっき無防備に千里さんの手なんか握ったせいで今も握られとる…。所詮手を繋いでる状態や。

「ただいまー、今帰ったで」

なんや家に帰ってきたみたいな話し方やなぁ思ってると病室におったオカンとばぁちゃん、それに義姉さんがぽかんとして俺を見てきた。何?俺何かしたやろか?周りを見渡すとオトンや藍華に兄貴は居らんかった。どっかに行っとるんやろか。

「兄貴らはどこ行ったん?」

病室内に入ろうとすると腕が引かれ入れなかった。あ、そうやった。千里さんと手を繋いでたんや!!!!

「光ちゃん!いつの間に彼氏作ったん!!?」

「ぇ?…えええええ!!!?」

オカンは目を輝かせて近づいてきたかと思うと俺をがくがく揺さぶった。ええええぇちゃうわっ!!彼氏やない!ていうか俺男やっ!彼氏作ったらアカンやろぉぉぉお!助けを求めて千里さんをに視線を向けるが千里さんはにこりと笑って「千歳千里です」なんて自己紹介しよってはっきり言って絶望した…。ていうか誰かツッコミ入れろやああああ!大阪人やろ!?

それから誤解を解くの大変やった。嗚呼もう、何でこない変人ばっかり俺の周りに居るんやろ。





2010.3.30

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