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四天宝寺中学校にも慣れたし、何だかんだで先輩らとも仲良うしとる。でも、今一番の難題は妹の藍華や。いや今やのうてずっとやけど。

「はいっ!光君、これドリンクね」

何故か藍華はテニス部のマネージャーやっとった。しかも俺より年上の二年らしい。昔の妹が年上て、なんか複雑やねん。

「…どーも」

なるべく藍華の顔を見らんようにぶっきらぼうにドリンクを受けとればそれを見ていた謙也さんが俺の頭を小突いてきよった。

「ちゃんと礼言わなアカンやろっ!悪いなぁ藍華」

「ううん、大丈夫!おおきにな!謙也君!!」

「べっ別に…!当然っちゅー話や!」

「えへへ」

えへへ、て何や。謙也さんと藍華の雰囲気に砂吐きそうなったわ。なんか藍華に逆ハー的要素が向いとるらしく、一々先輩や他の部員の反応がウザい…。他でやってやー。テニス部はテニスするとこやろ、何で乙ゲーみたいな展開にならなあかんねん。そして藍華は他の部員が好いてくれとるように俺にも好意を寄せて欲しいらしく邪魔なくらい俺のところへやってくる。しかも部活の間だけやなくて家や学校内でもや。勘弁してや。藍華はめっちゃ可愛いて訳やないし、何より言動が好きやない。ほらあるやろ、どうしても好きになれん奴が一人や二人。俺にとってはそれが藍華で、今の状況はまさに地獄ちゅう感じやった。

「そうや!光君のラケットな、ガットが緩んどったから直しといたで!」

いやいやいやいや、何でアップするために部室に置いてきた俺のラケット持ってんねん!ガット直すくらい自分で出来るわ!しかもそない張り直さなあかんほど緩んでへんし。

「…………どーも」

あああぁもうこの言葉しか思い浮かばんのやけどぉぉぉ!!!一応作っておいた笑顔も絶対引きつっとったし!って白石部長ぉぉぉ!何笑っとるんや!あ、白石部長は藍華に毒されてない人なんやで(あと金ちゃんと小春先輩)。有難いんやけど傍観者やて決め込んどるらしくて俺を観察してニヤニヤしとる。白石部長、漫画で見たときは凄い恰好良かったんに本物はただの変態やった…。

ちらりと横を見ると謙也さんと藍華が談笑しよって、居心地悪くなったからしょうがなく小春先輩のところへ移動した。小春先輩は一氏先輩が絡むとウザい人なんやけどほんまはめっちゃいい人。そして藍華に対しての同士や。

「小春先輩ー、助けて下さい」

「あら光君やないの。よしよし」

小春先輩は気だるげにやってきた俺の頭を撫でる。

「今精神的に限界っすわ」

「奇遇ねぇ!あたしもよ〜」

二人で藍華を見ると謙也さん以外にも他の部員が集まって笑いあっていて俺らはため息をつく。あ、よう見たら一氏先輩も混ざっとる。小春先輩には浮気浮気言うくせにあれ自分も浮気やないか。

「…小春先輩、今度ダブルス組んでください」

「…いいわねそれ、楽しそうやわぁ」

「わーいやったぁ」

「光君、休んだほうがええんちゃう?」


取りあえずいつまで耐えられるやろか。




2010.3.25
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洞察力が高い人達は気づいてます^^ 白石君は周りをよく見てるから。小春は単に鋭い。金ちゃんは野生の勘です(笑)


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