レンアイゲーム 4



先輩がふにゃりと締まりのない顔で笑って俺の頭を撫でる。最初は嫌で堪らなかったそれが、俺の心の安定剤になったのはいつだったか。先輩は絶対に俺を見捨てないと過信したのはいつだったか。俺が先輩を好きになってしまったのは――…

家に帰ったあと、直ぐに自分の部屋に行く。鞄を放るとベッドに飛び込んだ。枕に頭を埋め、目を閉じる。
結局、この間告白してきた隣のクラスの女子は俺が少し冷たくしただけで喚いてきたから切った。最初に付き合えないって言ったのに、何故か彼女ヅラしてきたから苛ついたのかもしれない。関係を切った理由を考えていたらふと悲しそうに笑う千歳先輩が思い浮かぶ。
『光君はウサギさんたいね』
千歳先輩が俺が千歳先輩以外とも関係を持ってると知ったときに言った言葉。
『ウサギさんは一人なったら、寂しくて死んでしまうと』
今までの奴なら喚き散らして理由を聞いて来るか無理矢理俺を抱こうとするかだったから、その返答に驚いたのを覚えている。そして、きっとその時に千歳先輩を好きになった。
千歳先輩は、決して俺に無理をしてこない。只優しく俺を撫でたりキスしたり抱き締めてくれたりするだけ。行為に及ぶときもいつも俺から求める。
「千歳、先輩」
千歳先輩に触れられていると安心した。心が暖かくなって、何時も感じてる孤独感も薄まった。千歳先輩に、捨てられたくない。まだ側にいたい。どうしたらいいのだろう。どうしたら。ぐるぐると思考を巡らせ考えるがわからない。
「好き、めっちゃ好きや」
好き、それは変わらない。好きだと分かっているのに他人と関係を持つのを止められないのは―――…怖いから。いつか千歳先輩が俺の元から離れて行くのがわかるから、言えないし、止められない。だって先輩は男で、俺も男。ずっと一緒だなんてありえない。先輩はいつかきっと他に女の人を好きになる。好きになって、結婚して、子供ができて。
矛盾。今のままやったらその時が来たらすぐに捨てられるのに。でも、でも。優柔不断なのはわかってる。でも、俺にもわからないんだ。
千歳先輩に捨てられる。そんなの、
「嫌や」
寝返りをうって仰向けになると電球の光が眩しく目に突き刺さった。
千歳先輩は、俺がいなくても幸せになれる。俺はずっと先輩を好きなまま、先輩を側で見続けるんだ。俺にはきっと先輩以上に好きな人なんてできない、そう考えると悲しくて涙が出そうになった。

最近、涙脆くて仕方がない。先輩のせいや。先輩がいるから、俺は一人でおることがもっと怖くなった。

「会いたい」

会いたい会いたい、千歳先輩に会いたい。会って俺を抱き締めてや。先輩のせいなんやで、先輩のせい俺はこんなに弱くなった。もう一人は嫌や。ひとりにしないで、千歳先輩。
明日先輩は部活に来るだろうか。そうしたら千歳先輩、抱き締めてな。人がおってもええから、抱き締めて欲しい。きっと千歳先輩ならわかってくれる。

千歳先輩、会いたい。






2011.4.9修正
読み返してあまりのぐだぐだ感に恥ずかしくなった…。なにこれ…。

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