輝夜様へ 輝夜様へ!キリリクです^^ 白石君が別人ですがそこは妄想という名のフィルターでカバーして頂けると有難いです← 「四月やけど、寒いなぁ」 「そっすね」 息が白くなるとまではいかんのやけど手先が冷たくて震えた。まぁ俺低体温やから余計に寒いんやろうけど。ちらりと部長を見ると寒いて言いながらも俺より厚着で温かそうやった。ちぇっ朝温かかったから油断してた。恨みがましく部長を見てたら部長がくるりと振り返ってきて目が合った。そして意地の悪い笑みを浮かべる。アカン、部長が変なこと考えたときの合図や! 「財前、寒いんやろ?手つなごか」 ほらっ!当たりや!また変なこと言い出したで。ていうか何で手やねん、こんな道中で知り合いに見られたりしたらどないするんや。ありえへん…まぁ、そんなこと考えながらも今俺の顔真っ赤になっとるんやろなぁ。部長の策略にハマっとるちゅう訳や。悔しいわぁ。 「えー…、嫌っすわぁ」 「そないなこと言わんで、ほら」 俺に向かって手を差し出す部長を見たあとそっぽを向いてやった。やって、恥ずかしいやん。部長、いっつも余裕やねん。俺は部長と一緒におるだけでドキドキして死にそうなんに。暫く部長から目を反らしたままやったら、ふいにくすり、と部長が笑う声がした。思わず部長の方に振り返ると、部長はめっちゃ優しい顔して俺を見とって、きゅんとしてもた。うわぁ…俺乙女化しとる、キモいちゅうねん! 「おいで、光」 優しい表情で名前呼ばれて、思考回路なんて滅茶苦茶になってまう。部長、ズルい。 「…しゃーないすわ」 そう言って差し出された手をぎゅっと握り返すと部長は満面の笑みを浮かべた。握られた手から部長の熱が伝わってきて俺の体も温まっている気がした。あかん、俺今絶対真っ赤や。ゆでダコや! 「光は可愛ええなぁ」 「可愛くない」 「可愛ええよ。聖書の俺が言っとるんやから絶対や。」 「なんやねんそれ!」 思わず笑うと部長は俺の頭をぐしゃくじゃに撫でまわした。勿論手は繋いだまま。部長温かいなぁ。そういえばあの噂?てほんまやろか。手が冷たい人は心が優しいてやつ。やったらあれ嘘やな。だって部長めっちゃ優しいんやもん。…優しくて温かいなんて凄い。ちょっと変態やけど。 「光、何考えとるん?」 俺が無言になったから部長は気になったんか俺を覗き込むようにして見てくる。部長がなんや焦ってる気がして意地悪がしたくなった。 「んー…部長のこと?」 部長が赤くなるところを想像してほくそ笑んでると部長は予想通り真っ赤になってぎゅっと俺を抱き締めた。作戦成功てやつやな、やった。でも抱き締められるのは予想外やったなぁ、まぁ温かいからええんやけど。 「アカンなぁ、そんなん言われたら帰したなくなるやろ」 「えっ!?」 「冗談や」 体を離されたかと思うと先程と同じくらい意地悪い笑みを浮かべた部長がおった。嗚呼、成功なんかやない…失敗やった。でも赤面した部長見れたしええか。 その後も家に着くまで部長と手を繋いで歩いた。少し気恥ずかしかったけどこういうのもええなぁ、て思った。 2010.4.12 |