mm様へ



「ひかる君…」

「いやや」

「まだ何も言っとらんばい」

千歳先輩が何を言おうとしてるかなんてわかってる。俺に離れて欲しいんやろ?でもアカン。やって離れたら千歳先輩違う人のところに行ってまうんやもん。今俺は座ってる千歳先輩の膝に乗って首に腕を絡めてぎゅっと抱きついてる状態や。俺と千歳先輩は約三十センチくらい身長差あるし体格も全然ちゃうから俺はすっぽり千歳先輩の腕の中に入ってまうんや。

「此処部室たい。人に見られると」

いつも人に見られるのを俺が嫌がるから千歳先輩がそう聞いてくる。千歳先輩優しい。でも今見られてもええから千歳先輩にくっついてたい。ぐりぐり千歳先輩の肩口に頬擦りすると千歳先輩は苦笑しながらも頭を撫でてぎゅっと抱き締め返してくれた。嗚呼先輩ほんまに好き。千歳先輩を見ると困ったみたいに笑ってた。でも千歳先輩が悪いねんで。

「千歳先輩、好きやぁ」

「光君、今日は甘え上手たい。どげんしたとね」

千歳先輩は優しい。優しいから皆に好かれる。千歳先輩は知らんのやろ?部長と金ちゃん、めっちゃ千歳先輩のこと見とるねんで(あ、恋愛目線でや。金ちゃんは自分でも気付いてないけど)。モヤモヤする。こればっかりは何時のように『しゃーないっすわ』ですまされへん。今日も部長と一緒にいてて、泣きそうになった。俺の先輩なんに。

「先輩めっちゃ好きや」

「俺も光君好いとうよー」

「千歳先輩は俺のものやのに」

その言葉を聞いた千歳先輩は目を丸くして吹き出した。何やねん、こっちは真剣に悩んでるんやで!なのに笑うやなんて酷いっすわぁ。

「嫉妬したと?」

「っ笑わんといて!」

「ばってん、光君むぞらしか。…それに嫉妬するのは光君だけじゃなか」

千歳先輩の大きな手に前髪をかき上げられたかと思うと額にちゅ、と口づけられた。嗚呼アカン。多分俺今真っ赤やで。その証拠に千歳先輩は俺の頬を指でつつく。俺が照れてる時にちょっかいかける千歳先輩の癖や。

「今日、謙也君に頭撫でられとったばい。光君の頭撫でるのは俺だけでよか…」

拗ねた千歳先輩に笑みが溢れた。なんや千歳先輩も同じ気持ちやったんやな。そう思うと気恥ずかしい気持ちと安心半分で不思議な気持ちになった。

「千歳先輩可愛ええ」

「…そげんこつ言っとったら意地悪するばい」

千歳先輩の新たな一面にくすくす笑っていたら後頭部に手を添えられぐっと引き寄せられる。近くなった千歳先輩の顔にドキドキ胸が高鳴る。きっと俺をこんな気持ちにさせるんは後にも先にも千歳先輩だけなんやろうな。…そうならええな。

「ええよ、意地悪しても」

千歳先輩に抱きつき直して唇をぺろりと舐めると千歳先輩は獣みたいなギラギラした目で俺を見て性急に押し倒してきた。
優しい千歳先輩も、こんな怖いくらい真剣な表情した千歳先輩も俺のもんや。誰にも渡さへんから。千歳先輩からの口づけを受けながらぼんやりそんなことを思った。

それは禁忌的な独占欲。



2010.4.20
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かなり遅くなりました申し訳ありません…!甘く、とのことでしたがはたしてこれは甘くなっているのだろうか(爆)駄目文ですが、気に入って頂けると嬉しいです^^



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