友葵様から



「俺の部屋に新しいコタツ入れたから、古いのやるわ」

段々と寒さが厳しくなってきた秋のある日。何の前触れも無く唐突に言ってきたユウジのおかげで、千歳の部屋にはコタツテーブルが導入された。これで散々言われていた、ストーブを買う手間が省けたと千歳は素直に喜んだのだが。

それもつかの間、早速遊びにやってきた財前はコタツに入ったまま出てこなくなってしまった。

コタツから顔と肩だけを出して、財前は寝ながらパソコンをいじっている。
カタカタと軽快な音を立てる手元をちらりと見てから、隣に座っていた千歳は買ってきたペットボトルをそっと畳の上に置いた。
「光」
「……何すか」
「そげん入っとると、身体乾くっちゃね」
「…ありがとうございます」
ぽつりと返してペットボトルに口をつけた財前は、また画面と向き合う。
今度はカチカチとマウスを動かしてパソコンを操る姿に千歳は苦笑して、昨日大家さんから貰った蜜柑を手に取った。甘くなるようにと蜜柑を揉みながら、ひとつ小首をかしげる。
「光、蜜柑食べると?」
問い掛けに、いっ時手を止めた財前は少し考えてから、つぶやくように答えた。
「むいてくれたら食べますわ」「仕方なかとね」
それに千歳は笑ってうなずき、蜜柑を丁寧にむいていく。
大き目の房をひとつ取って渡すと、それを受けとった財前は口に入れた。
「うまかと?」
「まぁまぁっすわ」
返ってきた答えに思わず顔を綻ばせて、千歳は嬉しそうに蜜柑の房を取っては渡す。
何回かそれを食べてから、財前はもういいと思って肩越しを見やると、少し違和感に気付いた。
いくらあぐらを掻いているとはいうものの、足が殆どコタツの中に入っていない。
「……千里さん」
「どげんしたとね」
「コタツに、入っとります?」
鋭い問い掛けに、千歳は苦笑することしか出来なかった。
「入っとるっちゃ…ばってん、足伸ばしたら邪魔になるとね」
答えられたそれに、財前は数度瞬いてからパソコンに向き直る。
それから物凄い速さでクリックして今の状態を保存すると、パソコンを閉じて向こうに寄せる。
「光?」
突然の行動に何事かと千歳が小首をかしげていると、財前はコタツから抜け出して隣に立った。
「ちょっといいすか」
それに千歳はうなずくと、財前は少し前を空けてほしいと促す。
されるままに動いてやると、財前は千歳の前にすっぽりはまるように座りながらコタツに入った。
図らずも後ろから抱き抱える形になった体勢に、千歳はおそるおそる腕を回す。
「……どげんしたと、急に」
「や。こうしたら足伸ばせるやないすか」
さらりと答えられ、千歳は目を丸くしたが、すぐに嬉しそうな笑みをこぼした。
「光は、優しかとねー」
「別に、ちょっと嫌や思うただけっすわ」
「嬉しかとね」
そう言って千歳はお言葉に甘えて早速コタツの中で足を伸ばす。だが足先が出てしまい、そっと足を折ってコタツの中にしまった。
コタツの暖かさと、財前から伝わる温もりに、千歳は自然と幸せそうな顔になる。
「コタツはよかとねー」
「なら早ぉ入れればよかったんすわ」
「まぁ、そう言わんといて欲しかばい」
声音で苦笑しているなと分かった財前はひとつ笑って、テーブルの端を掴む。少しだけ目の前にある蜜柑をじっと見つめたが、手には取らずに口を開いた。
「……千里さん」
「ん?」
「蜜柑ください」
当たり前のように言われたが千歳は笑ってうなずき、手を伸ばして蜜柑を取ると、目の前で剥いてやる。
その様子を眺めながら、財前は「あ」と思い出したような声を上げた。
「白いとこも取ってくれはりますか」
「ここは栄養っちゃね。食べた方がよかと」
「そうっすか」
だがそう言われてしまったので、財前は素直に口へ運ばれた蜜柑をぱくりと頬張った。
「………うまいっすわ」
「よかったとね」
嬉しそうな千歳の声に財前はひとつ笑みを零す。
こうしてしばらくの間、財前は千歳によりかかりながら、食べさせてもらう蜜柑を堪能したのだった。

―――寒い日だから暖かくして、こたつで蜜柑でも食べましょう。




親愛なる杏珠さま

相互リンク本当にありがとうございます!嬉しすぎて涙が止まりません…
ささやかですが、リクエストいただきました「今が旬の炬燵ネタ」をどうぞ受け取ってやってください。
こたつで蜜柑をはむはむする財前は書いていて楽しかったです。千歳が食べていないのですけど、後で財前から貰っていると思います。きっと。
自分の書く千光は杏珠さまの書く千光の可愛さには到底およびませんが、少しでも楽しんで貰えたら幸いです。
それでは、サイト運営がんばってください。応援しております。お互いに千光盛りたてていきましょう〜!
20101120 椎名友葵 拝





友葵様相互ありがとうございます!。゚(゚^o^゚)゚。ブワッ
相互して頂いた上にこんな素敵な小説まで頂きもう今世に悔いはありません…!!!ばたり
こたつでいちゃいちゃして千歳が光君に蜜柑食べさせてるとかツボすぎて禿げそうです(`ω´)
友葵様もサイト運営頑張って下さい。更新楽しみにしております!
これからもお互い千光、謙蔵を盛り上げていきましょうね(^▽^)

夢杏珠。




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