友葵様へ



冬はあたたかい季節なのです。




最近急に冷えてきた。低体温で冷え性な可愛い可愛い俺の恋人…光君に何かしてやれることはないだろうか、と考えた結果とあることを思い付いた。それは“家族鍋”だ。部活後に光君を招いて鍋を食べて部屋でいちゃいちゃ…!光君も温まるし俺もいつもガードが固い光君といちゃつけるチャンス。ていうか光君と同じ鍋つついて家族ごっこがしたi…げふんげふん。うん、なんでもなかよ?ちょっと噎せただけばい。確か三日ほど前に実家から仕送りも来たし大丈夫な筈だ、と遠足前の小学生のようにわくわくしながら準備をし、ガードの固い光君をなんとか家に呼ぶことが出来た。そう、出来たのだが。

「何で白石と忍足も居ると!?」

炬燵の上には鍋がグツグツと煮えていて、光君もいる。そこはいい。
だが問題はここからだ。
光君を囲むようにして同級生でテニス部の仲間である白石と忍足がいた。

「部長がどうしても来たいって言いはったから。しゃーないすわぁ」
「俺の可愛い財前を獣の巣穴に一人で行かせるわけあらへんやろ☆」
「すまん千歳…白石を止められへんかった…」

「要するに邪魔しに来たっちゃね…」

しょうがなかね。何事も邪魔は付きものやけん。…………なんて言う訳なか!!!!!せっかくの光君との一時を邪魔されてたまるか。

「白石も忍足も帰りなっせ!!」

もうもはやため息しか出てこない。ちらりと光君を見ると光君は俺らに構わず白菜をかじっていた。ひ、光君いつの間に!?可愛かけど寂しかよ…。
白石はそんな光君に抱きついて離れようとしない。それどころか嫌悪するかのように此方を睨み付けている。なんというか…猫が威嚇しちょるような…。てか忍足、お前さんの猫やけん責任持って欲しか。忍足にそう目で訴えてみるも忍足はさっきから遠い目をしてる。そうだった、白石の一番の被害者は忍足なんだった。

「俺の財前を発情期の動物の側に置いて帰れ言うんか!?変態っ!狼っ!」

威嚇する白石は俺を睨み付けながらも光君の腰を撫でてセクハラしている。光君も少しくらい嫌がるたい!てかいつまで白菜食べとうと?

「変態は白石の方ばい!いつまで光君の腰ば撫でとうと!?羨ましか!俺と場所代わりなっせ!」

「変態?誉め言葉か!腰撫でとるんは、これは部長だけの…えーと…アレや、儀式やねん」

儀式ってなんね!?

いい加減白石を引き剥がそうと手を伸ばしかけた時だった。
光君の後ろから俺より早く手が伸びてきて白石を捕らえた。白石を後ろからぎゅっと抱き締めたのは忍足。白石の顔が一瞬ほんのりと赤く染まった。

「白石、帰ろう」
「ちょっ!謙也離してや!」
「お前が財前好きなんは知っとるし千歳に嫉妬するんもわかる。けどあんま俺に構ってくれへんかったら寂しいんやけど?」
「―――…謙、也…」

白石の頬が更に色づき、甘えるように忍足を見上げた。
光君を離してくれるのもイチャつくのも構わんばってん、…二人共ここが俺の家だってこと忘れとう?
それくらい、二人の世界を作り出していた。(…なんだろう、この親の愛の営みを見てしまったような気分は…)というかそんな二人の側でひたすら白菜を食べ続ける光君は大物だと思う。

デートすると言って二人で仲良く帰って行った白石と忍足を見送ったあと、部屋に戻ると炬燵の中に潜り込み拗ねた光君が迎えてくれた。小さな炬燵に肩まで潜り込み、此方からは後頭部しか見えない。そして俺が近寄っても振り向こうとしない。
やれやれ、ここにも不機嫌なむぞらしか子猫ちゃんがおったばい。
先程の白石の様子と今の光君の姿が似ている気がして思わず吹き出す。
ふいにむぞらしか子猫ちゃんは振り向いて俺をじろりと睨む。寝転がったせいで少しだけ乱れた髪を撫でて解かすと光君は口元まで炬燵の端を持っていき顔を隠す。むぞらしかー!

「構ってやれんですまんとね」
「部長にばっか構って…ヒドいすわ」

にこりと笑って再び光君の髪に触れる。きっと先程帰った二人も知らないであろう甘える光君に笑みが溢れる。…まぁ、教えるつもりは微塵もなかけんね!

「千歳先輩は俺のやもん、」
「うん、俺は光君のもんやけん!」
「俺がおるときは俺だけを見てないと嫌っすよ」

わかっとうよ。そう言って光君の向かい側に腰を下ろすとふいに光君が炬燵から抜け出て俺の方へ駆け寄ってくる。抱きついてきた光君を両手を広げて抱き止めると光君は満足そうに、そして安心したように笑った。
いつも冷えている体も温かくて今日は誘って良かったと心から思った。


「光君、一緒に鍋食べるばい!」







2010.11.23
友葵様へ!相互ありがとうのプレゼントです!
なんだか無駄に甘く無駄にギャグチックなエクスタシー侍にバッサリ斬られそうな感じに仕上がりました。なんだろうこれ。リクエストは鍋ネタで千光でしたが、今回謙蔵も混ぜてみました!らぶらぶいちゃいちゃする千光と謙蔵を書けて幸せでした!駄文だが愛と萌えと感謝はたっっっぷり詰め込んでます(^▽^)ふひひ
少しでもエクスタシーを感じて頂ければ幸いです(笑)
ツイッターでも仲良くして下さってありがとう!そして相互これから宜しくお願いします!


夢杏珠。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -