2011/01/07 拍手ログ02 お礼小説は仁王+ゾロアです。 ぽけもん知らない方はすみません; 知らない方の為にちょっと補足。 ゾロア…化け狐ぽけもん。黒いふわふわした狐みたいな子です(適当) 特性はイリュージョン。簡単に言えば姿を変えることが出来る、みたいな。 朝、息苦しさに目を覚ます自分そっくりな奴が俺の腹あたりに跨がりにこにこと笑っていた。なんじゃコイツは。肌寒さにちらりと窓を見ると全開。コイツは窓から入ってきたらしかった。不審者とかじゃあなさそうだが。 それにしても、世界には同じ顔が三人いるち聞いたことあるけど…これは似すぎじゃのう。親戚か何かじゃろうか。 はぁ、と肺に溜まった酸素を吐き出すと跨がったままだったそいつを退けて起き上がる。 「お前さん、名前はなんて言うんじゃ」 何となく問いかけてみたがそいつは困ったような眉をハの字にして首を左右に振った。 名前がない…訳がないしのう。人間なら名前は絶対持っとるはずぜよ。もしかして喋れんのか?そう思ってソイツをもう一度見ると窓から身を乗り出して外を飛び回っているポッポを楽しそうに見ていた。 しょうがない、と思いソイツを連れてリビングへ向かう。母さんか姉貴に聞いたら何かわかるかもしれん。 …そう思ったんじゃが、リビングに着くと人影ひとつ無かった。机に紙切れが一つあるのみだ。内容はなんか家族で出掛けてきますみたいなふざけた内容じゃった。俺も連れてけ。ぷり。 再度ため息を吐いた瞬間ぐい、と袖を引かれたかと思うとソイツはキラキラした目で袋に入った食パンを指差した。腹減っとるんか。 俺も腹が減っているししょうがない、と自分に言い聞かせてソイツにも朝食を作ってやることにした。俺が朝食を作り始めるとソイツは嬉々としてリビングに置いてある机まで駆けていく。おい、手伝いはせんのかお前さん。ソファに体操座りをしてちらりと此方を見てきたソイツに(同じ顔をしているとはいえ)不覚にも可愛いと思ってしまった。ナルシスト予備軍とかヤバいぜよ。 *** いきなり現れたソイツに何をしているのだろう、そう思ったがなんとなく突き放せない。同じ顔だからなのだろうか。まぁ家族が帰ってくれば親戚なのか何なのかわかることだ。 目玉焼きを二つ焼き終わり皿に乗せて持って行く。丁度食パンも焼けた様で一緒に机に置く。だがソイツを見て思わず脱力してしまった。 「寝るんじゃなか!!!!」 ソイツはクッションを抱きしめて幸せそうに眠っていた。あんだけ物欲しそうに食パン見ちょった癖になんじゃ。思わず柄にもなく大声を出してしまい、それに自分もソイツも驚く。 『…キャウッ!!?』 急な大声にソイツは驚いてびくりとし奇妙な声を出した。キャウッて…。そう声に出す前にぐにゃりと目の前の自分そっくりな姿は消えて、変わりにいるのは真っ黒な狐のようなポケモン。 ポケモンは自分の姿が変わったことに気が付くと慌ててクッションの下に潜り込む。…潜り込んだのはええんじゃが尻尾が丸見えぜよ。頭を隠してなんとやら。 「お前さん、ポケモンじゃったんか。此処等では見かけんポケモンじゃのう」 『…くぅ』 クッションを退かして抱き上げるとポケモンは耳を垂れ下げ申し訳なさそうに一声鳴いた。 なんとなく謝っている気がしてがしがしと少し乱暴に撫でると机の上に乗せた。 「まぁ、よかよ。じゃけど朝食は食べんしゃい、勿体なかけん」 肩を竦めて言えばポケモンは表情を明るくし目玉焼きに飛び込んだ。ってお前さん、それは俺の目玉焼きなんじゃが。前足と顔に黄身をべっとりと付けたまま美味しそうに目玉焼きを食べる姿に怒りを通り越して呆れた。 「…落ち着きんしゃい」 少し笑って顔の汚れを拭ってやるとポケモンは満足そうに笑った。 …ポケモンの名前がゾロアていうんが分かったのはポケモンが俺に懐ききって離れなくなった後のこと。 End |
2011/01/07 千光♀ 「先輩!トリックオアトリート!」 この季節にしては暖かい日だったので屋上でサボりがてら昼寝をしていたらふいに誰かがのし掛かってきた。まぁよく知っている人物なのだが。 閉じていた目を開くと予想通り、溺愛していると言っても過言ではないくらいに可愛がっている子…財前光ちゃんがいた。 「光ちゃん…?どげんかしたとね」 「聞いてへんかったんかい。今日何の日か知っとります?」 嗚呼そう言えば今日白石が謙也君にお菓子を貰いに行くがてら悪戯しに行ってくるち言うとったばい。今日は…。 「ハロウィン?」 そう言うと光ちゃんは普段はあまり見せない笑顔でにこりと笑った。ハロウィンか、確かに甘党の光ちゃんには最高の日ばいね。しかし残念ながら今、お菓子の類いは一切持っていない。 「すまんばい、今なにも持ってなかけん」 光ちゃんの髪を撫でてへらりと笑えば光ちゃんは一瞬残念そうにしたが、ふと何かを思い付いたのか寝そべっていた俺に顔を寄せて唇の端をぺろりと舐めた。 「お菓子くれへんのやったら、イタズラするんやて部長から聞いてん」 びっくりして固まってたら光ちゃんはしてやったりというようにニヤっと不敵に笑った。白石…!?俺の光ちゃんに一体何を教えたと!!? 「イタズラ、するっすわぁ」 光ちゃんは俺の腰あたりに跨がったままスカートの裾を指先で掴み捲った。 |
2011/01/07 千光 くしゅん、とクシャミをすると思った以上に周りに響いた。 最近急に寒くなってきた。これやから季節の変わり目は嫌やねん。よう風邪引くし、夜眠れへんくなるし。低体温のせいなのか布団に潜り込んでもしばらく温まらんし。もう一度クシャミをすると隣を歩いてた千歳が心配そうにこちらを覗き込んできた。 「さっきからクシャミばっかしとうね。…風邪引いとう?」 「いや、寒いだけやから平気っすわ」 すん、と鼻を啜ってから千歳先輩を見上げるが千歳先輩は神妙な顔をしてた。かと思うと何か思い付いたのかにこりと笑った。…先輩みたいなんをマイペースて言うんやろうな。 「こうしたら温かかよ!」 ふいに俺の手を取って自分の手を絡める。所詮、恋人繋ぎってやつや。俺の顔に熱が集まるのを感じた。恥ずかしい、でも暖かいのも本当で俺は手を離さへんかった。 「しゃーないっすね」 人が通るまで少しの間までは手、繋いどってもええかもしれん。先ほどより、指の先も顔もぽかぽかして温かいのはきっと気のせいじゃない。 |
2011/01/07 千→←光←蔵 彼らがお互いを想い合っていることを知っていたからなのか。それとも他の感情があったからなのか。千歳が財前を置いて熊本へ帰ってしまったと知ったとき激しく怒りを覚えた。 俺は財前のベッドに腰掛け俺がいるというのに目の前のパソコンに夢中な財前を見つめる。財前は多分視線に気付いているが、何も言ってこない。パソコンの画面には聖書と呼ばれる俺にもわからない文字の羅列が並んでいた。 「財前、お前はそれでええの?」 なんとなく呟けば財前は聞こえていたのか俺を振り返った。一瞬戸惑ったような表情をしたがふと小さく笑いまたパソコンに向き直った。 向き直る直前に聞こえた、『それでも千歳先輩が好きなんやからしゃーないっすわ』という独り言のような言葉に胸がチリリと焼けるみたいに痛んだ。 嗚呼、俺ならば財前をこんな目に合わせたりしないのに。 |
2011/01/07 ※千光 ぬるりとした千歳先輩の舌が俺の口内に滑り込んできた。歯の裏側や奥の方などをゆっくり味わうみたいに嘗め取られて溢れた唾液が顎を伝う。正直ボタボタと顎に伝うその感触が好きではない。はやく拭ってしまいたい。そう思って千歳先輩の肩らへんを押すが先輩はその手を頭上でひとくくりにし更に深く口付けてきた。 「んん、んっ!ぁ、ん、」 「ん、ふ…」 千歳先輩キス魔なんかなぁなんて思いながら先輩のキスを受ける。別にキスが嫌いなわけちゃうしええか。…いや、むしろ好きかもしれへん。 どれくらい時間がたったのか。千歳先輩が唇を離す頃には俺の口まわりはべとべとになってた。これ、口元ふやけとるんちゃう? 「千歳先輩、ウザイっすわ」 息も絶え絶えに呟くと千歳先輩はにまりと笑って俺の耳元に唇を寄せた。 「光君がキス好きやけんね」 俺よりもあんたが好きなんやろ。そう言ってやろうとしたが再び唇を寄せられそれは叶わなかった。文句はこれが終わったら言ってやろう。 蕩ける思考でそう考えながら千歳先輩の首に腕を回した。 |
2011/01/07 蔵光 「この間私中絶したの。子どもなんて面倒くさいだけじゃない」 電車の中で聞いたその言葉に腹が立って仕方がなかった。我慢するんに必死で、気が付いたら唇を噛み締めていたようで部長が俺の名前を呼ぶまでそのことに気がつかなかった。 「財前、唇切れとんで。ほらハンカチ貸したるから押さえとき」 「別にその内止まるやろうしええっすわ」 「…アカン」 部長は俺を押さえ付けて俺の唇にハンカチを押しあてる。真っ白やったそれはじんわりと赤く染まった。部長はほんまに怒っとるようで眉を寄せて俺を見る。やって、中絶とかって何。子ども欲しくて堪らんのに出来ひんやつもおんねんで。…俺みたいに。部長の子どもが欲しい。でも出来ない。俺は男で部長も男や。俺は子宮も卵巣もなくてセックスしても何も生まれへん。それでも非生産的なそれを止められへんくて。神様がひとつだけ願いを叶えてくれるなら部長の子どもが欲しい。 出来るものなら、愛しい人の子を腹に宿したいのだ。 |
2011/01/07 千光 千歳先輩が、いなくなった。 先輩の放浪癖はいつものことやし、最初は皆気にも留めんかった。やけど1ヶ月、2ヶ月過ぎ周りがざわつき始めた。嗚呼、最後に千歳先輩会ったのは何時やったっけ?最後に抱き合ったんは?キスしたんは、いつ?気が付いたら3ヶ月が過ぎてて、なんや先輩の両親が来て何か話してはる。話し終わって、先輩の両親は泣き崩れて、白石部長とか謙也さんとか金ちゃんとか皆も泣いて。何で泣いてはるんですか。そう謙也さんに尋ねたら謙也さんは俺を強く抱き締めた。謙也さんが小さい子に言い聞かせるみたいに説明してくれたけど意味がわからんかった。 「千歳先輩は、どこにおるん?」 俺がそう呟いたら皆が更に泣き出した。俺を見て、大声あげて、泣いてる。何で?…わからへん。 俺は泣いとる先輩らを置いて千歳先輩の下宿しとるボロいアパートに駆け出した。もしかしたら、先輩が帰ってきてはるかもしれへんやろ? 先輩のアパートに着いて、貰ってた合鍵を使って部屋に入ると少しだけ埃臭かった。嗚呼、まだ帰ってきてへんのやな。荷物を退けて布団の上に寝転がるとかすかだが千歳先輩の匂いがした気がして涙が出た。 いつまで、そうしていただろうか。目を閉じていたらふと自分の髪を撫でる感覚がした。千歳先輩なん?嗚呼起きなければ、でも瞼が重くて目が開かへん。先輩、千歳先輩千歳先輩千歳先輩、千歳先輩。 千歳先輩、会いたい。 |
2011/01/07 拍手ログ 【ご馳走様です。】 「光君!猫のクッキー作ったばい〜!」 天気が良すぎるくらい晴れ渡った昼過ぎ。屋上で千歳先輩を待ちながら下を眺めているところやった。勢いよく扉が開く音がして振り返ると千歳先輩が息を乱しながらキラキラした笑顔でそこにいた。 「ねこ?」 「ねこばい!」 千歳先輩は大股で近づいてきたかと思うと俺に赤色をした包みを渡してきた。赤色ちゅうても透明がかってる袋やから中身が見えてる。中には猫の顔の形をした可愛らしいクッキーが沢山入っていた。千歳先輩は意外と料理が出来る。俺が甘いもの好きなん知ってから毎日のようにお菓子を作ってきてくれるようになった。千歳先輩、彼女みたいやなぁ。 「おおきに。あ、うまいっすわ」 「光君、そんな躊躇もなく一口で…」 袋を開けて口に放り込むとほどよい甘さが広がって頬が緩んだ。そんな俺とは反対に千歳先輩はなんかしょんぼりしてるけど、どないしたんやろ?…あ、そう言えば俺千歳先輩に貰ってばっかで何も返してへん。千歳先輩のことやから何もいらんとか言いそうやなぁ。ああっ!気になってきたやんか! 「千歳先輩」 名前を呼ぶとにこりと笑い俺の頭を撫でてくる。気持ちええなぁ…やなくて!千歳先輩が喜ぶものって何やろ。暫く考えているとふと千歳先輩が前に言った一言を思い出す。せやっ!アレや! 「せーんぱい、」 俺はかなりある身長差を縮めるように背伸びをしながら千歳先輩の首に腕を回す。ぐっと引き寄せてちゅ、とリップ音がするような軽いキスをしてあげる。千歳先輩は一瞬ポカン、としたあと真っ赤になって慌て出す。なんや前に「光君からキスして欲しか〜」て言ってたやん。でも照れてる千歳先輩、可愛ええ。 「ひ、光君!!!?」 「いつもおおきにっちゅうお礼」 「〜〜〜〜むぞらしかっ!!」 千歳先輩は何やツボに入ったんか俺を力強く抱き締めてくる。ちょっと苦しいけど嬉しいからええわ。 「光君好いとう!!!」 「…ん、俺もっすわ」 そう呟いた少し後で再び唇が重なり、顔を寄せ合って笑い合った。そんでクッキーも千歳先輩もごちそうさまでした、なんて思った。…まぁこの後俺は美味しく千歳先輩に食べられてまうんやけど。 |
2011/01/07 千光 俺は、あのとき彼を傷付けた。若かった俺は、そのことにすら気づかずに彼を傷付け続けて。気が付いたら俺の傍から彼は消えていた。 「…久しぶりばい」 四天宝寺中学の裏にある山。急な坂道を登ったところにあるそれは、俺の大好きな場所だった。そして彼と二人で過ごした思い出の場所だった。 此処は綺麗で輝いていて、昔と変わらないから好きだ。…だけど、苦しくて仕方がない。理由はわかってる、でも認めたくない。認めたら、彼が俺の傍から居なくなったことを認めてしまう。顔を上げると、ちょうど夕日が輝いていて綺麗だった。俺の大好きな風景だ。綺麗なのに、大好きなのに。 『千歳先輩』 大好きな彼が傍にいない。 |
2011/01/07 謙光 ※裏じゃないけど少し注意 俺と十センチほどしか変わらないというのに、程よく筋肉が付いているし、意外と肩幅が広くて男らしかったり、 走り込みやのに先に行くで!なんて言うて短距離走るみたいに猛スピードで駆けて行く姿は子どもっぽかったり、 他の先輩らと話しよるときに見せる屈託のない笑みが柔らかくて太陽みたいやと思ったり、 普段は髪型が乱れるから頭撫でられるのが嫌でしゃーないのにアンタにだけは平気やったり、 キスするときに俺より真っ赤になって緊張で震える姿が可愛えなぁなんて思ったり(すぐガッついてくるけど)、 …嗚呼せや、初めてセックスした時も俺が恥ずかしゅうなるくらい優しくしてくれはりましたよね。 俺の中はアンタでいっぱいで、溢れてまうくらいなのに。なのにどうして。 「………謙也さん、何で俺を置いて行ってしもたん。」 アンタが俺に残してくれたもんが大き過ぎて、俺は未だにアンタを忘れられへんやないですか。 |