瓦礫の山が広がっている
無造作に投げられている瓦礫の上を器用に渡る人影
微妙なバランスで成り立っているため地盤はもろく崩れやすい
進行形でガラガラ崩れているところもある
「♪ゴミの山は宝の山〜珍しいものが埋まってる〜気分は宝探し♪」
陽気に歌を歌う
地面に降りて身だしなみを直す
「ヘル!!」
瓦礫の山と子供しかいない空間に第三者の名を呼ぶ
瓦礫の中から物音がして黒い何かが飛び出てくる
黒い毛並み夕日色の紅い瞳
腰の高さまである大きな狼
「十分遊んだ?」
「おー!」
ぴったりと足元により添って歩き、首を上げて主人を見るヘル
「なぁ次ぎはどこに行くんだ?」
「そうだなぁ…」
動物なのに流暢に言葉を喋る
ありえないことなのに子供は平然としている
悩みながら狼の頭をぐりぐり撫でる
「イタリアにでも行くか?」
「えー、イタリア?」
「そうそう、変態がそこに行けって言ってたし」
のらりくらりのんびりとイタリアに行きますか。
prev|next