夜23時、並盛中の中庭。
今まで晴、雷、雨、嵐、霧、雲、と戦ってきた。
そして今回は

「「今日は雪の守護者対決です」」

チェルベッロが戦いの説明をする
フィールドはプールだ。
水を抜いて、人工雪を敷き詰め、体感温度-10℃を優に超えている

「めんどくさー、オレは"平穏主義者"なんだっつーの…」

彼は乱雑に伸ばされている黒髪を掻く
防寒対策なんてしておらず、ダメージングのあるズボンにシンプルなTシャツ一枚。

「てめェっ!まだそんなこと抜かしやがるのか!!!」
「だって本当のことだしさ、そもそも乗り気じゃねぇもん」
「んだとっ!?」

小声で言ったつもりがバッチリ聞えていた

「楼都!!」
「んぁ?」

ツナが申し訳なさそうな表情で、苦しそうな表情で、楼都を見つめる

「無茶しないでね!」
「…へいへーい、頑張らない程度に頑張りますよー」

楼都は気怠そうにヒラヒラと手を振ってチェルベッロに近づく
そこには今回の相手である少女がクスクス笑っているではないか

「すっごい弱々しいわね、こんな奴が雪の守護者なの?」
「不可抗力っつーか強制的になったんだよ、本人の意はなしで。」

こんなメンドー事は大嫌いなんだよねぇ、
主にめんどくさいだけだけど。

「では、ボンゴレ側汀目楼都vsヴァリアー側アリス」
「「試合開始」」

開始して早々長く深い溜息を吐く楼都
白い息が出て、足元には雪がズボりと埋まっている

「めっさ嫌だ、寒いし。」
「だったら降りればいいじゃん」
「そうしたいんだけどさ……」

目はあさっての方角を見ている
どこからか怒声が聞える

「うぉおおらぁあああ!!極道一家!汀目楼都ぉおおお!!手抜きな死合をしたらただじゃすまんぞぉおおお!!!」
「若旦那ぁあああ!!!ファイトっすぅううう!!!」

ビリビリと響いてくる叫び声は学校の屋上からで拡声器を使っているではないか
完全にその場にいる人達は引いた

「最悪…」
「うっわー、あんたの親達ぃ?」
「親分と子分達だわ」
「…今回は同情するかも」

アリスという女性は完全防寒服で、マフラーやコートを着ている。
元からエリア内容を知っていたかのようだ。

「ま、俺が勝てばいい話だし、家族が見守ってるので手加減無しでやらせてもらう。拘束兵器(ルナティックアームズ) 平穏主義者、汀目 楼都(みぎわめ ろうと)手加減無しでやらせて頂きます」

一瞬で目つきが変わり取り巻く雰囲気が変わった
突然、大量の雪が襲いあたりを真っ白にさせる

「ちょ、なに……!!」

困惑する彼女に、楼都は平然としており、暢気に欠伸をしている

「ま、動かないのが身のためだよー」

いつの間にかアリスの全身に見えない糸が纏われている
すこしでも動けばバラバラジクザクになる

「こんなもんでしょ。」

いつの間にか彼の手にはアリスのリングがあるではないか。
動いてしまったのかアリスの腕から血が垂れ、白い人工雪に赤い斑点が散りばめられる
雪のリングを完成させて戦いは終わった

「ほら雪ってさ、白いじゃん?色々誤魔化しって効くもんだね」

真っ白の小さい綿と正方形に切られてた紙切れだ
フッと息を吹きかければ空へ舞い、楼都はゆるりと口角を釣り上げた

「"弱々しい人に負けて悔しいでしょう?"」

その表情は女の様な笑みで薄く綺麗に微笑む
それはまるで、先程の彼女のような笑みで、アリスは顔を歪めた

「てなことでさいならー。」

ケロッとした表情で、だるそうに一つ欠伸をして、ズボズボと足を動かしてプールから出た

"雪"とは無色であり多色でもある。すべてを無かった事にしてしまう"白"
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