01


木々が茂った森の中を慣れた足取りで進んでいく
もちろん道も整備されてないけもの道
年相応な顔でまだ少しあどけなさが残っている顔立ち
短い黒髪がそよ風で靡きながら到着した目的地を見上げる

「やっぱりここにいた…浩貴!!」

ニヘラと笑う少年は大きな大木に言った
浩貴と呼ばれた彼は木の細い枝に座り幹によし掛かって無反応
それでも少年は浩貴に声をかける

「母さんがご飯出来たから戻って来てだって。」

浩貴はゆっくりと起き上がって下を見る
日に照らされる顔は下にいる少年と全く同じ顔つき

ただ違うとしたら――

「いらない」
「今日は浩貴の好物だけど?」
「昌志の好物でもあるだろ。」
「そうだけどさ!」

――昌志と呼ばれた少年と違う口調と雰囲気。

昌志は拗ねたようにむぅっと頬を膨らまし、ひらめいたように表情を変えれば、誰もいない空間に声をかけた

「恵比寿」

細身の体形で紺色の狩衣に身を纏い、色素の薄い青色の髪がざんばらに切られている。
そして、土ふまずの所に布を巻いてる裸足の男性が昌志の隣に忽然と姿を露わした。
彼は無言で浩貴の所までふわりと飛びあがり、無抵抗の浩貴を担ぎ昌志の隣に立った

「家に帰るぞ!」

いっきに不機嫌になった浩貴とそれに対で昌志は満足げに笑って帰宅した


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