ドタドタと侘助を探しながら家中を探し、縁側のところに座っている侘助を見つけた。

「侘助!」

思ったより大きい声で侘助はビクリと肩を震わし、後ろを振り返った

「よお…どうした?そんなに慌てて」

何事もなかったかのように接してくる侘助に近づいてパソコンのデータを見せつけた。
そのデータ内容を見て侘助は目を見開いた。

「……これをどこで手に入れた。」

国家の機密情報まで書かれているそのデータに侘助は真剣な顔つきであたしを見下ろした。

「ラブマシーン。ハッキングAI。これ侘助が作ったやつだよね。」
「……どうやって知った」
「OZの一連の騒ぎ……、これを仕向けるようにしたのは侘助?」
「答えろ、梓」

こわばった顔で怒っている声音で問いただす侘助にあたしは唇を噛み締めた。

「どうせ、オファーをもらってるんでしょう…?開発者として、その技術力を買われてるんでしょう?」

侘助は何も答えない。
彼のその片手に持っている携帯に力が入った。
きっと英文で書かれたメールがあるはずだ。

「………侘助は……、栄さんの誕生日にこれを、教えたかったの…?」

ラブマシーン。
「愛されたい、認められたい」という願いから名付けられたAI。
愛情に飢えている侘助がつけたもの。

「…答えてよ、侘助。」

素直になれない皮肉屋のニヒリスト。
だけど一番の栄さんっ子で、ずっと家族の一員だと認めてもらいたくて家を飛び出した。

「………お前も俺と一緒に来いよ。そうしたら教えてやるよ。」

皮肉めいた表情でゴツゴツした指であたしの頭に手を乗せる

「お前の才能は目を見張る。放っておくのが惜しいし、あっちに梓の事を話したら歓迎してる。」
「…!!」
「……俺は勝ったのさ。」

そう言ってフラリとその場から立ち去って行ってしまった。

「わかんないよ、侘助。」

家族に認められたいとかわかんないよ。
栄さんから愛情が欲しいなんてわかんないよ。
そんなのわかんないよ。

「同じだと、思ってたのに…」

だけど、それはあたしの勘違いだった。

愛して愛さないで
(疎まれてきたのはあたしだけだった…?)


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