「さっきの人が梓」
「梓さん…」

晩御飯の前に梓さんという女性の部屋に訪問していったが、追い返されてしまった。
そのまま居間で夕飯の準備をしながら夏希先輩が説明してくれた。

「大学3年生だったかな?2年ぶりにこっちに来たんだ。」
「去年は来なかったんですか?」
「レポートに追われてたとかで来れなかったみたい。おじさんたちは怒ってたけどね。」

大学生、大人な女性って感じだったなぁ。
思い出すだけで顔が真っ赤になりそうだ。
そりゃそうだ、脱げそうな服着て、前髪を一気にかき揚げて、こっちを見下ろしてきたんだ。
色気ムンムンだ。

「それで――って聞いてる?」
「あ、ぁあ!!すみません、聞いてませんでした」

夏希先輩が呆れながらももう一度教えてくれた。

「万助おじさんの長女、仁美さんの娘なの。梓は普段からあんな感じで、今回の頼み事も協力してくれるかなって思ったんだけど……」

なんかダメみたいだし。と落ち込んでしまう夏希さん。

「あんな部屋に入ってて大丈夫なんですか?」
「一昨年もあんな感じだったわよ、部屋に引きこもってた感じがする。」
「ひ、引きこもり…」

確かにあんな真っ暗な部屋でパソコンだけつけてるのって衛生的に悪そう…
部屋の掃除とかってやってるのかな。

「仁美さんが嘆いてたなぁ、どこで間違えたんだろうって」
「でも今日仁美さんって人見てないんですけど…」
「こっち来て直ぐに仕事でイタリアに飛んだみたいよ。」
「イタリア!?え、海外で仕事してるんですか!?」
「拠点は日本らしいんだけど、たまに海外からオファーがあるみたい。」

す、凄い…、次元が違いすぎる…!!

夕飯の準備が進められ、大勢の親戚の人たちが席についた。
しばらくして梓が連れられてきたけど、ものすごく不機嫌そうな顔をしていて直視できなかった。
お酒も入っているのかすごく楽しく盛り上がっていて、こういうのがものすごく懐かしいというか嬉しくてたまらない。

「健二君?」
「…いえ、なんでもないです…」

梓が立ち上がって理一さんと少し何かやり取りしてどこかに行ってしまった。
バチリと理一さんと目があって綺麗に微笑まれた。
あっという間に時間が過ぎて、夏希先輩の家のお風呂を借りて戻ろうとしたら道が分からなくなってしまった。

彼女はとても不思議な人でした
(あれ、迷った…)
(小さい黒い男の子がいました)
(梓さんに似てる、ような感じがした。パソコンと密室ってところが)


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