01
「ふーん……結構個性的?」
もうすぐ二月でまだ寒さが抜けない
火桶に手をかざして勾ちゃんとまったりとしながら話す。
「会ったことあるんだろう?」
「うん、片手で数える程度だけど」
ちゃんと会って話してみたいなーとか思うけど、中々会わないんだよな
「部屋のお礼もしなきゃいけないし、」
「ん?」
ピクっと勾が妻戸の奥を見据え、スっと音もなく立ち上がった。
彼女が静かに妻戸を開けようとする時、チリっと脳裏にこの家の祖父の部屋が見えた。
心配そうな表情のジイさんと吉さんが神妙そうな表情で話しかけてる。
「椿、晴明からだぞ」
ひらりと開けた妻戸から舞い込んできた白い蝶がこの部屋についた途端、パタリと床に落ちた。
足元に落ちたそれを拾い上げ、墨で書かれた字を黙読する。
「……五条…?」
そこには直ちに向かえ、末孫たちと合流するように、と書かれており簡易的な地図が描かれいて見覚えのある五条だとわかった。
「勾ちゃん、これって……」
「行くしかないだろうな」
仕方ないと思いながらも重たい腰を持ち上げ、勾ちゃんと部屋を出た。
どうせ何言ったって、あのジイさんは狸だから色々考えてるんだろうな。
「私は昌浩達と合流したら戻るからな」
「うん、それでいいよ。」
途中、藤姫と会って、いってきますと、言うと笑顔で見送ってくれた。
末孫と落ち合う場所へ歩いてる最中、俺は煩い雑音に首をかしげた。
「そういや、なんか最近うるさくないか?」
「なにがだ?」
「雑鬼たちだよ、なんか落ち着き無い、感じがする……」
可哀想に、人間の親子連れが、乳飲み子だった、なんか一辺に頭の中に流れこんでくる。
ああ、きっと。悪い妖怪が稚児を襲っているのかと直ぐにわかった。
「―――!!これは……!」
背筋に冷たい物が駆け下りる。
ぞわっと全身が総毛立ちして、心臓が跳ね上がった。
「勾ちゃん、合流は現地でもいいだろ?」
「ああ。」
あっちの家の方向は地図と同じで、恐らく、いや、きっと確信がついた。
「次男坊の家からだ」
急いで方向転換して勾ちゃんは末孫に教えにいくらしく、別行動をとり地図を握り締め走る。
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