季節

君に送るためのうたを失くしてしまったの

誰にもわからないほどの声で呟く、償い

今、聴こえますか?

せかいのオト、音、おと

覗き込んだ鏡の中にはきっと、沈みゆく未来が

君と私の、未来の果てが

見えてしまったから、もう


戻れないの


移ろってゆく季節の中で

取り残されそうなこの部屋の空気は

私にお似合い

椅子の上で小さく躰をまるめて

匂いを吸う


「もう春か」


季節は記憶を連れ去って思い出にする

少しずつ剥されて、離されて

思い出になる



……さようなら


2012/08/29

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