瞳の先


*甘めなつもり





君の瞳に俺は映らない

君の瞳にうつっているのはそう…




『ユーリ』



「ん?」


『晩御飯、何が食べたい?』

「パフェ」

『却下』

「なら聞くなよ」

『だって晩御飯にパフェだなんて言うと思わなかったもん』






楽しそうに青年と話しをする名前ちゃん。


ぶっちゃけおっさん、名前ちゃんのことが好きなんだけど、見ての通り名前ちゃんは青年に夢中。

おっさんとは全くと言っていいほど喋ってくれないの。






やっぱり若者は若者同士がいいに決まってるわよね…

おっさん歳に似合わず純愛で切ない。






『それに晩御飯がパフェじゃ甘い物苦手なレイヴンさんが可哀想よ。ね…レ、レイヴンさん』



あら、おっさんの名前が出てきたじゃない。めったに呼ばれないからちょっと驚いちゃったわ。


でも青年に比べて呼び方がかなーり固い。




「そーよ、晩御飯食べれないおっさんが可哀想だと思わないの?」

「甘い物が嫌いなおっさんが悪いんだろ」

「青年ひどい!!」

『またレイヴンさんに向かってそんな言い方をする!』

「はいはい悪かったな」

『はいは一回』

「へいへい」

『もう!ユーリのバカ!!』
ポカポカと可愛いらしく青年の背中を叩く名前ちゃん。

仲良しな青年が本当羨ましいわ。





「青年とはあんなに楽しそうなのね…」

「あらおじさま、どうかしたのかしら?」

「いいや、なんでもないのよジュディスちゃん」


ジュディスちゃんにヘラッと笑ってみせる。
でも内心はね、なんだか泣き出しちゃいたいくらいだわ。




「…だったら俺じゃなくておっさんに何が食いたいか聞けばいいだろ」

『いや…そ、それはねユーリ。あの、あの…ね』


名前ちゃんたら、顔を真っ赤にしちゃって。そんなに青年のことが好きなのね。
それに比べて青年ときたら…




おっさんもう見てらんないって。





「あのね青年、名前ちゃんは青年が食べたい物を作ってあげたいのよ。まったく…乙女心が分からないのかねえ」



さすがにここまで言えば青年も気づくでしょ。おっさん柄にもなく、損な役回りだったわ。




「本当に分かってないのかしらね?」

「バカっぽい」

「損な役回りばかりですね」

「可哀想なユーリ…」

「そうそう、損な役回りで可哀想なユーリ…って、え?」



いやいやどういうこと?明らかに損な役回りはおっさんの方だったでしょ!?
しかも何?この皆さんの冷たーい眼差し。冷たすぎておっさん凍っちゃいそうよ。



「ワン!!」

「本当にな…分かってないのはどっちだよ、おっさん」

『ちょ、ちょっとみんな…!!』

「もう言ってしまいなさいよ名前」

『え!?い…今?!』

「いつ言っても結果は同じよ。さっさと言っちゃいなさい」


リタっちが名前ちゃんの背中をこっちに向けて押すと名前ちゃんはあたふたとしだした。
ジュディスちゃんはというとにっこりと笑ってこっちを見つめている。


『え…!!あの、レ、レイヴンさん!!あ、あたし…ずっと、す…す』


「す…?」


『す…す













寿司が食べたかったんです!!』






「…寿司?」


『は…はい!レイヴンさんが作る…お寿司が!!』

「それならいつでも言ってくれれば良かったのにぃ!名前ちゃんのためならおっさんすぐにでも作ってあげるわよ!!」

『あ、ありがとうございます!!』


名前のため、さっそく張り切って寿司を作る準備を始めたレイヴン。そしてそれを手伝う名前。




「ダメね」

「あら、これはこれで良かったのではなくて?」

「まだまだ時間がかかりそうだね」

「クゥーン…」

「二人の愛はこれからです」

「早くくっついてくれた方が俺は楽なんだけどな」




レイヴンが名前の瞳にうつっているのは自分だと気づくのはまだまだ先になりそうです。







→あとがき



なんだかんだでレイヴンは自分の恋愛感情に対しては不器用で鈍感であればいいというね(*^^*)
好かれるのは慣れてるが好きになるのは不得手な感じでね(*´ω`*)


うん、レイヴン可愛い★

この裏話しも考えているので良かったら次回も是非ご覧ください(^^)
読んで頂きありがとうございました!









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