「高杉、お前はここでおだぶつだ。」


高杉に刀を向け副長がそう発した。一番隊から三番隊まで連れた真選組、数はざっと数えて二百。それに加え、副長と沖田隊長が居る。それに高杉以外の鬼兵隊の奴等がいない今、流石の高杉でも勝ち目はないだろう。高杉の生涯はここで終幕だ。

「ククッ、俺もとうとう…」

高杉との対峙はこれで五度目。最初はその名の通り『過激派』で皆を、江戸をぶっ壊す、という高杉の考えが理解出来ず(否、真選組である私に理解する必要はない)江戸を壊される前に高杉を捕まえなきゃ、殺さなければ。と考えていた。

その考えが変わったのは四度目の対峙の時だ。『紅桜』の問題の件で任務に就かされていた私。紅桜の持ち主が鬼兵隊の船上に居る、と聞いた私は紅桜よりも高杉を殺す事を考えて船上へ向かった。
そこでみた桂小太郎とのやり取りに私は呆気に取られた。
────高杉晋助とは父の教え子だった、あの『高杉』だったのかと。


私は父が死んでから、父に習った剣でこの世を平和にするために真選組へ入った。そんな私とは反対の考えで父への思いを表す高杉、父を奪った世界を壊そうと試みる高杉。

「じゃぁな、高杉晋助!あの世で会いやしょうや」
「…っ、松陽先、生」




それでも私は人間なのです

同情してはいけない、私は真選組。そう思っても、やはり真選組である前に私は一人の人間。父の為に、世界までもを破壊しようとしている高杉にあろうことか心の中で感謝しながらボロボロと泣いてしまった。



高杉に向けて刺されるはずだった沖田隊長の刀は私の心臓へ深く深く刺された。真選組、大好きだったんだけどな、と泣きながら思った。真選組はもちろん、黒い隊服を纏った私に庇われた高杉も驚いていたに違いない。だってほら、私の意識が薄れゆく中、彼は確かに私の名前を言ったもの。 

知ってる?高杉くん。父は貴方が一番のお気に入りだったの、父が死ぬ前日に言ったの『高杉くんを支えてあげて』と、だから私は約束を守るの。父の最初で最後の願いを。


「父の、教え子は…っ、死なさ、ない」

そう言った私の意識は朦朧としていた、そんな中少し笑いながら思った『私も教え子だったなぁ』と。それと同時に私の意識は途絶えた。






END

アンケ参考。

  090914
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