「なぁ緑兄ぃー」

「何だ?」

「前っ々から思っていたんだけどさ…。何で俺はよく喧嘩売られんのに、青はあまりないんだ?」

「・・・」


あぁ、そうか。
 そういえば霧斗は知らないんだった。青が意外に凶暴だということ。

霧斗の前では(半分は本気だと思うが)お馬鹿キャラを演じているのだから霧斗が気付く訳ないか…。

中学の終わり辺りからだったろうか…。青の強さが知られ、今の霧斗のように絡まれなくなったのは。
 霧斗も充分強いが、何故か絡まれる。


「俺はよく絡まれるのに、青はあまりないってさ。何でだか緑兄知ってる?」


 これはどう答えるべきなのか。青も、知られたくないからわざと馬鹿みたいに明るく振る舞っているのだろう。

だとすれば、俺がここで話すわけにはいかない。


「さぁな。青の事だ、片っ端から再起不能にしてるんだろ?」

「なのかなぁー?んー…俺も、もっと派手にやった方いいかな…」

「霧斗は霧斗のやり方でやるのが一番いい。あまり無理に変えない方がいいぞ」

「んー…そっかぁ…」


素直に自分の言葉を受け入れた霧斗の頭をクシャクシャ撫でてやれば、くすぐったそうに笑う。

 双子なのに、本当に違うものだ。たまにそっくりな所もあるといえばあるが…。


あのお馬鹿キャラの青の瞳に何が映っているのか、霧斗は知ったらどんな反応をするだろう。

 あの無邪気にしている瞳が時に、鋭く光ると知ったら―――








光る瞳に映るのは