何でオレ達、双子として生まれてきちまったんだろーな…。

 優しいオレンジに包まれた屋上。顔をあげれば夕日が視界に入る。
オレの隣りに座っている片割れは、ぼーっと空を見上げていた。


「なー霧斗ー」

「んー?」

「オレ達、何で双子なんだろうな?」


元は一つだったはずなのに、どうして二つに分かれてしまったのだろう。
 どうせ二つになるのなら、双子としてでも兄弟としてでもなく生まれて来たかった。

そうすれば、オレは堂々と君に好きだと言えるのに。
他の奴等に、自慢できるのに。


「青は、俺と双子なのが…嫌か?」

「わかんねー」


嫌かと聞かれても、否定できないし肯定もできない。
 だって、双子じゃなけりゃこんなに近くにいれなかったかも知れねぇし。
双子じゃなかったら、堂々と恋人だって皆に言えたかも知れねぇし。

 矛盾ばかりの考えが、頭の中をぐるぐる回っている。


「霧斗は?」

「俺は良かったと思ってるよ」

「何で?」

「双子だからこんな近くいれるし、出会えない事はなかったから」


 そう言って照れくさそうにはにかんだ霧斗に、ドキッとした。

双子だけど、霧斗は可愛いと思う。だって他の奴等で霧斗を好きだって言ってた奴いたし。
 残念ながら、霧斗はオレのだから誰にも渡さねぇけど。


「なぁ青。俺、別に双子でもいいと思うんだ」

「うん…?」

「たとえ双子でも、俺が青を好きなのには変わりねぇから」

「霧斗…!!」

「それに双子の方が、何かお得に感じるだろ?」

「んー…多分な」


だよなー。双子でも、オレが霧斗を好きなのには変わりねぇし。
……うん。何かどーでもよくなってきた。


「霧斗!」

「ぉよっ!?」


ガバッ!と勢いよく隣りにいた霧斗を抱き締める。


「オレ、霧斗の事大好きだ!!」


 双子でも兄弟でも何でも!

禁忌だとか罪だとかどーでもいい!

 オレは霧斗が好きで愛してるって事だけが確かならそんなの関係ねぇ!










罪深き純愛