目の前にはオレンジ頭の我が兄。後ろは壁。下はふっかふか(羨ましいなちくしょう交換してくれ)なベッド。
イコール危険。
「お、落ち着こうぜお兄さん」
「俺は至って冷静だが?」
「でーすよねぇ〜」
どうしろというのだ今のこの状況を。
本人が言う通り、火影兄は至って冷静だ。
ヤバい…。何で火影兄の部屋なんかに来てしまったのだ自分。あー…辞書なんて現役大学生の紫苑兄にでも借りれば良かった…!!
今更後悔なんかしても遅いのは分かっているけど。
「宿題あるんで」
「嘘吐け。さっき終わらせただろ」
あ。そーいや夕飯食べる前に火影兄に教えてもらいながら終わらせたんだ。
俺の馬鹿ぁああ!!
「霧斗」
「ひゃ!?」
やめろその低ボイスー!
耳元で囁きながら舌いれやがった…!!情けない声が出てしまうのは仕方ないと思う。
ヤバい。既に雰囲気がゑろいよお兄さん。
「まっ…待ってマジ…!」
肩を押すがびくともしない。無駄に力が強いんだよちくしょう。
こうしている間にも火影兄は首筋を舌先でなぞったり、鎖骨を甘噛みしてくるわけで。背筋がぞくぞく震えた。
「やっ…明日学校…!」
そうだよ。今日は木曜日だから明日も学校はあるのだよ。
一度動きが止まり、諦めたかと思ったが上げられた顔には笑みが浮かんでいて違う事を悟った。
「学校よりもコッチの方が大切だろ?」
そうきたか。
いつも行きたくねぇ時は堂々とサボってやがるくせに、とまで言われてしまい俺の手札は失われる。
「それとも…」
「んっ…」
一度言葉を切り、鎖骨から顎まで舌でなぞられる。
ヤバいヤバいヤバい。そのなぞるのやめて下さいマジで。
顔に熱が集まるのを感じながら、次の言葉に耳を傾けた。
「俺といるのが、嫌か?」
「〜〜ッ!!」
ズルイ。
そう言われたら、俺が何も言えなくなるのを知っているくせに。知っているからこそ言うのだから。
俺が何も言い返さずにいれば、火影兄は勝ち誇った様にニヤリと笑みを浮かべる。
「優しくしてやるから、安心しろ」
その言葉で、俺は抵抗するのを諦めました
キスより甘くささやいて