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「あ〜…いってぇ…」



ズキズキと痛む頬を擦りながら廊下を歩いているのは私、3年Z組の土方沙良。

 今は授業中なのでシンとしていて静かだ。
あー…ホントにほっぺ痛い。

アンパンマ●になっちゃう。無理だよ。
 私の首はあんな簡単に取れません。何処のホラー映画?
どうせ出演するならホラーよりコメディ…って、アレ?何か話ズレてね?



「近藤さん…本気で殴ったな」



『お前はそんな奴じゃなかったはずだ!!少し頭を冷やせ!!』



 先ほど、教室で私を殴った後そう言った近藤さんの顔は真剣で。
あぁ…マジで怒ってるんだなって、冷静に思う自分がいた。

 何でこんな事になったのか。

それは単純明快。
 私が天人高の奴等と派手に喧嘩したからだ。
相手は軽く20人以上いたので、私も軽くマジでやり合った。

そしたら、10人くらいが大怪我。
何だっけ…2人は骨折で3人は脱臼。後は分からない。別に興味ないし。

 それに、向こうから私一人に喧嘩売ってきたんだから自業自得。
なのに、近藤さん達には私から喧嘩を売って大怪我させた、と伝わっているらしい。

何でそんな風に伝わってしまったのだろうか。

 教室に入るなり近藤さんに殴られ怒鳴られ…もう最悪。
頭に血が上った近藤さんは私の話に聞く耳持たず。
 桂もやり過ぎだって呆れた顔するし。

お妙さんは見損なったって言うし。神楽と九兵衛は複雑そうな顔してて何も言わなかった。

 新八とザキはただ黙っているだけ。

兄さんと総悟はまた追いかけっこしてていなかった。

 アホだアイツ等。