新八はよく嘘をついた。彼のこれまでにはいくつもの小さな嘘が星屑のように撒かれていて、ふと振り返ったとき、そのひとつひとつが小綺麗に結していることが問題なのだった。



銀時は優しい嘘が嫌いだった。真実を知って追い縋りたくもすでに叶わぬ、そんなかなしい思い出が彼につくった染みはまだ乾かない。そのくせ彼は、彼を待つ者をかなしませる嘘ばかりうまくなっていく。



神楽は疑うことをしなかった。愛するひとに備わる口から繋がる言葉が嘘であるはずがない。あらゆることを疑り過ごすよりよっぽど難しい生き方に徹する様は、少女にして美しかった。



人間様とは言ったものだ、ここに棲むのは呼吸の下手な馬鹿ばかり。進化も良し悪し、彼の白い尾がゆたりと振れて昼下がり。彼のあくびをどんな真意と推し量ることもただの嘘っぱちになってしまう。定春は人語を話さない。


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