眠れない、夜 ― 1
「くるみー、目覚ましは6時にセットしておくけど、ええ?」
『う、うん』
「もし寝相悪かったりしたら堪忍な」
『蔵兄が寝相悪いのって想像つかないけどね』
「ははっ、変なプレッシャーかけんといてや。ほな、電気消すで〜」
『はーい』
…えー皆さま、どうもこんばんは。
早速ですがわたくし市原くるみ。
ただ今、心臓破裂の危機に陥っております。
パチッと部屋の電気が消えると同時に、ギシッとベッドのスプリング音が暗闇の部屋で鳴り響く。
そう。実は何と今夜、蔵兄と1つのベッドで寝ることになってしまったのです。
(な…何でこんなことにっ!!)
話は昨日の夜まで遡ります。
第8話
眠れない、夜
私にはこの世で最も嫌いな物が2つあります。
1つは、虫。
まぁ大抵の女の子は駄目だと思うけど。
なのでGやら蝉が大発生する夏はとても嫌いです。
これから2ヶ月後が恐怖で仕方ないのです。
それともう1つ。
ホラー映画。
これも大抵の女の子は得意ではないと思うんだけど。
少しでもホラーものを見てしまうと、怖くて一睡も出来なくなるのです。
だから心霊写真特集とか怖い話特集がやっている夏はとても嫌いです。
という訳で大嫌いなものが2つ同時にやってくる夏は私の中で最悪の季節ではあるのですが。
話が逸れたけれど、実は昨日の夜。
またまた財前くんと謙也先輩が我が家にやって来ました。(お泊まりじゃなかったし、千兄は来なかったけど)
事もあろうに、最近DVD化したホラー映画を片手に。
もうすっごく気味悪くてエグいと評判だったその映画は勿論、たくもなかったので、自室に逃げようかと思ったんだけど。
「は?せっかく皆で見よう言うてんのに、何シラケる事言うてんねん。つべこべ言わずに早よ茶菓子用意して席つけ」
という財前君の命令により、あっさりと断念。
それにホラー映画が怖いだなんて財前くんに知られたくないし。
バカにしてきそうだし。
それだけは絶対に避けたい!!
…という訳で、巷で怖いと言われているホラー映画を、皆さんと一緒に鑑賞した訳なんだけど。
『………こんなの見ないで財前くんにバカにされた方が良かった…。。』
あまりの怖さに、ものの見事に一人じゃ寝れなくなってしまったのでした。
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