嵐がやってきた - 1
最近の俺は何か調子がおかしい。
否、健康上は全く問題はないんや。
日頃扱っている健康グッズが効を奏したのか、ここしばらく体調を崩した事なんて殆どない。
怪我とか外的要因でもない。
…せや、くるみや。
くるみが可愛え妹やっちゅーのは、出逢った時から変わらない。
やけど何やろうか。
同じ妹と言ってもやっぱり友香里とは全く違っていて。
“妹”と思うと何か違和感がある訳で。
妹やなくて、女の子として可愛いなんて思ってしまう自分が居って。
もしそうだとしたら、こんなに失礼な事はない。
くるみやって俺を兄として慕ってくれとんのに。
くるみは紛れもなく、俺の可愛い“妹”や。
その気持ちは、絶対に変わることあらへん…
第6話
嵐がやってきた
ピンポーーン
「お、誰か来たで。何やろうか?」
お昼も過ぎて、蔵兄とのんびりしていた頃。
突如としてインターホンが鳴り響いた。
『はいはーい、今出まーす!』
よっこらせとソファから立ち上がり、小走りで玄関へと向かう。そしてガチャリと玄関の扉を開けた時だった。
『…え、わぁっ!!』
「あかん!!」
ドサドサドサっ!!
盛大な音を立てて玄関先に雪崩れ落ちて来たのはお菓子の袋やらゲームの箱やらで。
一瞬にして玄関先は足の踏み場がない位に物で溢れかえってしまった。
えと…こ、これは?
「はぁ、謙也さん人様の家でコレぶちまけるとか、迷惑極まりないんで帰ってもらえません?」
「なっ!そんな言い方ないやろ!ちゅうかこの荷物の山を俺1人に持たせるなっちゅー話や!」
「じゃんけんで負けた奴が全部持つんやでー待ったなしや!つったのは何処のアホ謙也ですか」
「きーー!」
突然の展開にあっけにとられて、目をぱちくりしながら来訪者を見る。そんな玄関の騒ぎ(?)を聞き付けて、蔵兄も「どないしたんや!?」と駆け寄ってきてくれた。
『謙也先輩、財前くん…』
玄関先に現れたのは、金髪の頭をした騒がしい先輩・謙也先輩と、同じクラスの財前くん。そして…
『千兄!!』
「「……は?」」
「はは、今日も元気よかね、くるみちゃん」
そして同じ委員会で仲良くさせてもらっている、千兄こと千歳千里先輩が立っていたのでした。
[1/5][←前] [次→]