二人 ― 1
人は誰かを愛した時。
自然とその人に触れたい、もっともっと繋がっていたい…って思うだろう。
そうする事で、お互いの愛を感じ合えるからだ。
今の私なら、その意味が良く分かる。
だって私も…もっともっと、貴方と繋がっていたいって思ったから─────
第5夜 二人
あの後、ちゃんと話がしたいと言う事で、私は光くんを家まで連れてきた。
最初、光くんは家で二人きりになる事に少し抵抗を感じていた様だったけど、私がどうしてもとお願いをすると、しぶしぶついて来てくれた。
どうしよう。
昨日感じたドキドキとはまた違ったドキドキが今、私を襲っている。
リビングのソファーで二人の並んで座りながら、1つ深呼吸をする。
────まずは謝らなきゃ。
昨日は酷い事をしてごめんなさいって。
『……っ』
でも、いざ言おうとすると涙が止まらなくなって、ただただ泣くばかりになってしまって。
そんな私を見て、光くんが口を開いた。
「俺、何かある度にしょっちゅう泣く女って嫌いやねん。面倒臭い」
『……!!』
その光くんの言葉があまりにも衝撃的すぎて、さっきよりももっと顔が歪んでしまう。
…そうだよね。
私が泣くとか、絶対おかしいもんね。
傷付けたのは、私なんだから…
でも……それでも
光くんだけには、嫌われたくない。
嫌われたくないよ。
『ご…め、ん……ね、光くっ』
だめだめだめ。
泣いたら嫌われるのに。
たった今、嫌いだって言われたばかりなのに。
涙が止まらない。
そんな自分が情けなくて、嫌になる。
だけど、光くんの言葉はそれで終わりではなくて。
『…っ、』
不意に光くんの腕が伸びたかと思うと、その指先は優しく私の目元に行き、涙を拭ってくれた。
「女の泣き顔とか、面倒臭い。……面倒臭い、ハズやのに。…お前の、雪恵の泣き顔を見るんは結構好きやねん」
『ひ…か、る…く?』
伏せていた瞳を上へと向けると、そこには優しく微笑んでいる光くんがいて。
あまりにも優しい顔をするものだから、思わずその表情に目を奪われてしまった。
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