後悔 ― 1


「おーっす、美山」

「あ、おはよー柏木」

「泉谷ら、昨日どうなったか知っとる?」

「…あんな、さっき雪恵ちゃんから連絡あったんよ。今日は具合悪いから学校休むて。…むっちゃ沈んだ声しとって」

「それほんまか?それじゃ…」

「どうなんやろね。財前から何の反応もない所を見ると……」


“例の出来事”があった翌日。
事の張本人である元テニス部の柏木と、雪恵の親友、千尋は二人の行く末が気になっていた。
当校するや否や、お互いの情報を確かめあって、状況の確認をする二人だったが…────


〜♪〜〜♪


と、突然鳴り響くメールの着信音。
どうやらソレは二人同時に鳴った様だった。


「あ、メール」

「俺もや」



from 財前 光
──────────────
to 美山
to 柏木
──────────────
sub 無題
──────────────

死にさらせ。

──────────────



((む、むちゃくちゃ怒っていらっしゃる!!))


今、財前や雪恵が陥っている事の重大さが漸く分かった二人なのであった。



第3夜 後悔



「財前!ほんっっまにスマン!!」

「ごめんなぁ、財前……」



「…何甘い事言うてんねん。ゴメンで済んだら警察なんて要らへんっちゅー事を身をもって味わせたるわ」



昼休み。
俺はいつもの様に屋上へと向かった。
もちろん、いつもの面子で弁当を食うためや。
本当なら雪恵がいると気まずいから、適当に理由をつけてパスしようかと思ったんやけど、どうやら雪恵は今日、学校を休んでいるらしい。
せやから、あのバカ二人をとことん糾弾したろうと呼びつけた。


せやけど、やはり気になるのは雪恵が休みという事実で。


そんなに傷付いたん?
そんなに…嫌やったん?
せやったら、あの時あんな事言われて、俺はどうすれば良かったん?

そう考えれば考える程やるせなくなって、俺は手始めに目の前で土下座をしている柏木と美山を一瞥する。
と、その時やった。


「ちょ、財前!なに千尋ちゃんに土下座させてんねん!」

「女の子にそんな事させるなんて…感心しないで、財前」

「あれ…ちゅうか、柏木やん!えらい久しぶりやな〜」

「……部長、謙也さん……。久しぶりっす」


こんな時に限って登場するお節介が二人。
俺らの方へとやってきて、当たり前の様に加わってきた。
ほんま有りえへん。
この二人にかかれば、いくら俺が「何でもない」と誤魔化した所ですぐ事がバレるに違いない。
現に、既に柏木のバカが事の顛末をバカ丁寧に教えとった。

二人の先輩らの反応は面白い程想像通りやった。
謙也さんは顔を真っ赤にしながらむっちゃ慌てとるし、部長は「しゃーない奴やな」と呆れて…いや、心なしかニヤニヤしとる様にも見えた。


そこまでは想像出来たんやけど…


予想外の反応が、1つ。
それは、とある着信やった。

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