ほうかごデート - 1
『光くん!お昼、一緒にたべよー!!』
「うっわ…またウザいのが来た」
『ウザいの?どこどこどこ?』
「自分の事やボケ」
『がーーん!』
第4夜 ほうかごデート
「まさか財前と一緒にお昼を食べる日が来るとはなぁ」
「そんなん、こっちの台詞やアホ」
『ま、まぁまぁ!幼なじみ同士、楽しくて良いじゃん』
「はぁ、…めんどくさ」
あの日から─…光くんのデレ事件から一週間が経った。
実はあの日を境に私と千尋ちゃんと光くんの3人で一緒にお昼を食べるのが恒例化するという展開になっていて。
始めはぶつぶつ言っていた光くんだけど、めげずに毎日D組まで迎えに行った所、段々とすんなり受け入れてくれるようになっていった。
入学式の時の光くんを思えば、大した進歩だと思う。
『でも光くん、いつもちゃんと来てくれるじゃない。昨日なんて、教室行ったら“遅い”なんて言ってたし』
「うるさいわ」
『あたっ』
えへへと笑いながら言う私の頭を、光くんが手のひらで容赦なく叩く。
うぅ、痛い。
痛い、、けど……
『えへへ』
やっぱりどうしても笑みがこぼれてしまう訳で。そんな私に千尋ちゃんと光くんが呆れた様に問いかけてきた。
「雪恵ちゃん、そこ笑う所ちゃうんじゃ…」
『んーん、だって光くんも一緒にお昼食べれて嬉しいんだもん』
「……、うざ」
『なんで!?』
だって本当の事だったから。
だから嬉しいって言ったのに、間髪入れずに光くんから“ウザい”と言われてしまった。
「ははっ、雪恵ちゃんはホンマ財前が好きやなぁ」
「!白石先輩、忍足先輩っ!」
聞き慣れた声がすると思ったら、後ろには白石先輩と忍足先輩が顔を覗かせていた。
どうやら天気が良いから先輩達も屋上に来た様だった。
そんな先輩達の登場に光くんが一言。
「はぁ、次から次へとまたウザいのが来た。少しはまともなヤツは来いへんの?」
「何言うてんねん、財前!そんなお前が一番まともやないっちゅー話や!!」
「その言葉、そっくりそのまま返しますわ、謙也さん」
「ホンマお前可愛くないわー!!」
そんな毎度の掛け合いをする光くんと忍足先輩を私たちはクスクス笑って見ていた。
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