見える − 1
コンコン、
『はーい!どちらさま…あ、白石さ…じゃなかった、蔵ノ助さん。こんばんは』
「こんばんは。お、丁度松本さんもおるな。なぁ、良かったら今からウチの学校の連中とトランプでもせえへん?」
『トランプですかっ?わーい、是非やりたいです!怜、良いかな?』
「ええ、もちろん。一緒させてもらうわ」
「良かった。ほな、俺らのコテージに行くで」
「『はーい』」
そんな訳で、蔵ノ助さん達とトランプをする事になった私と怜は、蔵ノ助さん達が泊まっているコテージへと向かった。
でも何だか蔵ノ助さんが泊まっている部屋に行くのって何だかドキドキしちゃう。
そんな事を、こっそりと怜に話したら「何言ってるの。白石さんなんてココ来て早々に奏の部屋に泊まったじゃない」なんてウインクしながら言うものだから更に赤くなってしまった。
そ…そうだった。
私、こっち来て早々に蔵ノ助さん拘束するっていう失態を犯してたんだ…
あれは5日…いや、6日前かな?
色んな事がありすぎて、もう随分昔の事の様に感じるよ。
ふと視線を感じて見てみると、何でだか蔵ノ助さんがとっても優しい瞳でこっちを見ていて。目が合った瞬間、優しく微笑んでくれたモンだから、私の心臓は破裂しそうになった。
なん…で、蔵ノ助さん。
そんな優しい瞳で見ないで下さい。
私はバカで単純だから、
本当の本当に期待しちゃいますよ?
「白石ー!ねーちゃん達つれてきたんかー!?」
「金ちゃんのリクエストどおり、ちゃんと連れてきたで〜!」
「何がリクエストどおり、や。部長の独断と偏見の人選やったやん」
「何か言うたか、財前?」
「…て、ここのヘタレが言うてました」
「はぁ!?オオオオレ、そんな事、一言もっ」
「遠藤さん松本さんよく来たばいね、ここに座ると良いたい」
「千歳はマイペースすぎやろ」
ははっ、ここは相変わらず仲良くて和むなぁ。
それじゃあ、と私と怜は千歳さんがポンポンと促してくれたスペースに、ちょこんと座る。
ちょうど千歳さん、私、怜といった並びだ。
と、そんな時だった。
「アカンで、奏は俺の隣、やろ?」
『え…?く、蔵ノ助さんっ??』
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