宣戦布告 - 1


『げっ!く、蔵!?も、もう来たの!?』

「ほら俺の言った通りやろ。5分以内に絶対やってくるって」

『意外…どんだけスイーツが食べたかったんだ…』

「はい、ちゅー訳で賭けは俺の勝ちやな。善財1杯もろたで」

『き、キングダムサイズだけは勘弁して下さい!』

「それは譲れへん。けど、一口くらいは恵んでやってもええで」

『あ、光。優しい!』


「「いや、全然優しくないで」」



case 7:宣戦布告


「…ほんで?俺らがいつ来るか善財をかけとったっちゅー事か?」

『うん!光がね、部長らは絶対急いで来るって言うから、そこまで言うならって賭けをしたの』

「…で、それで何で千郷ら手を繋いで待っとったん?」

『あっ、これっ、えと…』


蔵に言われて咄嗟に繋いでいる手を離そうとするも、光が手に力を入れるモノだから上手くいかずに終わった。
ちょ、急にどうしたんだろうか?

「ここ、カップルや女性グループ限定でしょ。せやから千郷先輩に頼んで、ずっとソレっぽくしてもらってたんです」

ですよね?と言いながら今度は腰に手を回してくるもんだからビックリして光を見た。
何だか今日はやけにベタベタしてくるって言うか光らしくないって言うか。
ちなみにその瞬間、蔵の眉がピクッと上がったのを私は知らない。

そう、私の知らない水面下では静かなバトルが繰り広げられていたのだ。
……ただ1人、残念な男・謙也を除いて。


「何してんねん、財前。別にそこまでせんでも店の人疑わへんやろ」

「せやで財前!見てるこっちが、こっぱずかしくなるっちゅー話や!」

「別にええんちゃいます?第一、そうせざるを得なくした店の方針に問題があると思いますけど」

「確かにそうやな〜、何でカップル限定にする必要あんねんな!白石もそう思うやろ?」

「それは財前だけの問題やないやろ。千郷に付き合わせたらアカンやないか」

「どわっはっは!せやけど、どうせ千郷は今日も暇だったんちゃう?千郷、図星やろ?」


「「謙也(さん)、五月蝿い」」

「何でやねん!!」


…謙也、哀れ(笑)

しかし、気のせいだろうか?
どうしてだか、蔵と光の間にほんの少し火花の様なものが散ってる気がするのは…

何となく不穏な空気を感じて、私はすかさずフォローに出た。

「あ、これはね、違うの。この前私が光に付き合ってもらったから今回は私が光に従おうって思ったの。だから全然迷惑とかかってないんだ」


これは完全なるフォローだ。
いや、フォローのつもりだった。
けれど何故だかその一言が、二人の間で繰り広げられるバトルを大きくしたらしい。

「なん?前に千郷、財前とどっかに出掛けた事があるん?」

『…、へ?えと…』

「何処に何しに行ったん?」


ずずいと身を乗り出して蔵に問われる。
ええと、何故だか責めらるてる気がするのは考えすぎなのだろうか?

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