お昼休みのランデブー - 2


『そう…だよね。私がいないと、華なくなっゃうもんね』

「アホか!?お前なんてな、小春の1000分の1にも満たないねんで!身の程を知れっちゅーねん!」

そう、すかさず一氏くんにツッコミを入れられる。
え、ちょっと!
私、今の割と本気だったんだけど!
腹立つわー!!

『なによ!言ってみるくらい良いじゃん、一氏くんのアホ!そんな事言うと、お笑い要員脱退するからね!真面目に生きていっちゃうんだからね!』

「なんやねん、先輩。その返しは」

自信満々に三行半を叩きつける私に、財前くんが半眼になってツッコミを入れた。
だけど、思いがけず効果があった様で。

「アホ言うな!お前自分がどんだけ素質あるか分かってへんやろ!磨いたら光る原石やで原石!
そんな才能に気付かんフリしてスルーなんて出来へん!ちゅう訳で却下や却下!」

『はぁぁ!?そんな事言って、私の能力が開花した時にこいつは俺が育てましたドヤぁ!≠ニかするんでしょ!止めてよね、そういう便乗商法とか意地汚い!』

「…うわ、部長何とかしてくれません、あの2人めっちゃ絡み辛いんですけど」

「どないせえっちゅーねん」


まさかの白石くんによる完全放置。
これは予想外だわ。

と、そんな時だった。


〜♪〜〜♪

不意に鳴り響く携帯の着信音と共に、私の目の前に置いてある携帯がブー、ブーと震える。

誰だろう?この着信音は氷帝の誰かのハズ。

手に取って見ると、そこには“忍足侑士”の文字が表示されていて。

……侑士?
どうしたんだろ、珍しいな。


『はいはーい、大垣でーす。侑士?どしたの?』

“何やねん、ごっつい元気そうな声やな。そろそろ俺らが恋しくなってくる頃やと思ってたんに”

『あはは!ざんねーん!めっちゃ楽しくやってるよー』


久しぶりに聞く侑士の声は心地良い位の低くて優しいトーンで、懐かしさでほっこりと心があったかくなった。

そんな私を見た皆は「前の学校の子かしらぁ?」とか「大垣のあの顔つき、男なんちゃう?」とか「いや、先輩に男ってありえないっしょ」とかヒソヒソしていて。

てか、財前光!
後で一発殴ってやる!!

そんな中、何故か謙也くんだけ目を見開いて私の会話に注目していた。

ん?何かあったのかな?


“千郷?聞いてるん?”

『ご、ごめんっ!なんだっけ?』


皆の反応に意識を向けていた私は、侑士の話を見事にスルーしていたらしくって慌てて侑士の言葉に耳を傾ける。

だけどそれは思いもよらなかった内容だった。

“跡部に聞いたんやけど、何や自分、四天宝寺に転校したんやって?”

『え?あ、言ってなかったっけ?そだよ、四天宝寺だよ〜って、それがどうしたの?』

“ほんなら手遅れになる前に1つ忠告しとくわ”

コホン、と咳払いをして改める侑士。


???

なになに?どうしたの?
忠告って、四天宝寺に何かあんの?

改まった言い方に若干の緊張を覚えて、思わず背筋を伸ばす。


“実はな、そっちの高校に従兄弟がおんねん。名字は同じ忍足言うんやけど”


……へ?
忍足っていう名前の侑士の従兄弟?

思いがけない言葉に思わず目を丸くする。

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