はじめまして!立海大!- 1


「……のう、転校生」

『…………』

「そこまで離れられると、流石のワシも傷つくんじゃが…」

『…………』


し、死にたい…


act.2 はじめまして!立海大!


あの日。

あの別れの日から早5日。


私は密かに受けていた編入試験を見事パスし、立海大学付属中学校の生徒としての学園生活をスタートしていた。

妙なタイミングでの転校に、始めの3日は好奇心に満ちた目でジロジロ見られていたけれど、その後は落ち着いて、さらに友達も出来て中々良い出だしで新しい生活をスタートさせることが出来た。


だけど。。

安心し始めた所にとある事件(?)が起きたんだ。
とは言っても、何てことはない、ただの席替えをしただけなんだけど。

だけど、私にとっては事情が少し違っていて。


(何でよりによって、隣がこの人なんだっ)


隣の席に座っているのは仁王雅治。
端正な顔立ちに銀髪の長い髪を後ろで一本で結んでいるその姿は、誰の目から見ても思うだろう、カナリのイケメンである。

それは転校してきた初日から既に認識していた事だった。なんたって、彼はとても目を惹いてしまう存在であったからだ。

その証拠に、彼には女子生徒からカナリ人気が高いらしい。
仲良くなったクラスメイト・吉田萌ちゃんがそう教えてくれたんだ。それを聞いて即座にこう思った。

『よし、あの銀髪の子とは関わりもつのやめよう』

と――…。


(だって!イケメンなんかと関わりもつと、絶対後が怖いんだもん!女子のいじめって陰湿で怖いんだからっ!……それに…)

(それに、テニス部…だし)


そう、テニス部の連中と関わりをもつことも、決してしないようにと、心に決めている。

ご存知の通り、立海大付属のテニス部は全国大会で2連覇を達成したばかりの超超強豪校で、3年生が引退したあとも、新部長の幸村精市率いる新体制の立海大に死角はなく、全国3連覇も確実とされている。


そんなテニス部の連中が(しかもイケメン集団)モテないはずがない。

現に放課後、テニスコートの外できゃぁきゃぁ言っている女子生徒の軍団を転校してきた日から今日まで、毎日目撃している。

だからこそ、余計な敵視を免れるため、平穏な生活を送るため、テニス部の連中には関わらない、そう固く誓ったんだ。


なのに…


「のう、転校生、聞いとんのかのーう」

『…転校生って、名前じゃないんですけど…』

「おぉ、やっと喋ったのう、苦労かける転校生じゃ」

『聞く耳なしですね、はい分かりましたー』


まさか席替えで隣の席になるとは、思ってもみなかった。
それでも少しでも距離を置こうと思って、ガタンと机をありったけ仁王くんから離して置いてみる。


見ると机1/2個分、不自然に列からずれていた。
だが、そんなコト気にしてられなかった。


(まずは、この銀髪から注意をそらさなければ!)

(……じゃから、余計目を惹いてるぜよ)

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