予定外の恋でした。 ― 2

* * * * * * * *


「うっわー。急に雨降りだすなんて、ホンマ勘弁して欲しいわ!風邪ひいたらどうすんねん!ちゅうか財前、お前ら、なしてコートに出て来なかったんや?」

「何言うてるんですか。部長から雲行きが怪しいからミーティングは外じゃなくて部室でやる言うてたやないですか」

「は!?そんなん一言も聞いてへんで!?」

「あぁ、そうでした。部長から謙也さんに伝言頼まれてたの忘れてましたわ。スミマセンざまぁ」

「心の声が聞こえてんねん、アホ!!」


蒸し暑さが少しずつ気力と体力を奪っていく、6月の季節。
夏の大会に向けて、今日も張り切ってテニスコートへと向かっていった俺は、生意気な後輩・財前光っちゅーヤツに仕組まれて、見事にゲリラ豪雨に直撃して、全身びっちょびちょになってもうた。

勿論、手にしていたタオルも全部一緒に濡れてもうた為、冷えた体を拭くことが出来ない。
せやから俺は、今日体育で使った別のタオルを取りに教室へと向かう事にしたんや。

「うーわ。体育で汗臭くなったタオル使うんや、きも。鼻が潰れるから俺の前に姿を現さんでくれます」なんて平然と言う財前の頭を軽く叩いてから、ダッシュで教室へと向かった。




袖や前髪から、雨の雫が滴り落ちる。
あかん。早よ体を拭かな風邪ひいてまう。
ほんの少し冷えを感じつつ、教室の扉に手をかけた所やった。


『そ…そうやねん。ウチ、ずっと…け、謙也の事が…好き、やってん』


教室の中から不意に聞こえてきた会話。
その声の主は間違えるハズもない、聞き覚えのある声で。

窓ガラスからこっそり中を覗くと、そこには俯きながら(恥じらいか!?)口を開いていた幼馴染みの姿があったんや。


……へ?
…………はぁ!?
なななななな、何やってぇぇ!?


扉を開けようと、ドアノブにかけていた手をそっと離して一歩、また一歩と後退りをする俺。
あかんあかん。
顔面蒼白や。

やって、まさか結が…俺の、事…。。



自分で言うのも何だけれど、自分は人より告白される事が多い…様に思う。
中学に入ってから、仰山の女の子に想いを打ち明けられてきた。
そんな女の子達の想いに応える事は出来へんかったけど。せやけどその気持ち、めっちゃ嬉しかったんや。


…けど。


あかんねん、結は。
結は…


ただの、幼馴染みや。

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