過ちを犯したのか
い、居間、いや違った、今俺の目の前で起こったことをありのままにそっくりそのまま話すんだぜ!!!
「うわぁあああああ!!」
「っ、ねぎぼうず泣くなっ泣くなよぉ」
「ら、らぐな!あいつ銃持ってるぞっ」
「わぁ〜っピンチだな!」
「ふ、服が…やだ…!」
「……………っ」
居間に子供がいっぱいなんだぜ!!
説明しよう。
まずなんか固そうな鎧が散乱しています。
俺の無駄がない黒と茶色を貴重としたフローリングは何処へ?
色とりどりの兜や綺麗な羽が沢山ついた…ほら、カーニバルで踊るお姉さんがかぶるようなやつがそこかしこにある。
次に、一番の問題。
子供がいます。子供が。
俺に奥さんはいません。
因みに子供が出来るようなことを致したこともありませ………ありますけど!確かにありますけど!!
でもこんなに似てない子供を…1、2、3…5、6…7!!七!?セブンですか!!?
多っ!ちょ、七人もこさえたつもりはないぞ。
しかも全員ぶかぶかな大人サイズの服を着てるもんだから、大変だ。
俺の絶叫よりも大きい泣き声を上げているちみっ子なんか、自分より遙かにデカく重い鎧に押し潰されそう。
女の子は顔を真っ赤にして服を握りしめながら泣いている。
かと思えば同じく大きな鎧に潰されかけている子供は静かに床に座り、顔を赤くしながらも髪が桜色の女の子は俺を睨んでいた。
え…ってか、え?何これ??俺の家???
いや、家具とか部屋の内装とか一緒だけど、一部を除いて一緒だけど、おかしいだろ!!
「殺されちゃうよぉっ」
『………………っ、』
放心状態で有り得ない光景に固まっていた俺だったけど、赤い鎧に潰されかけたちみっ子が放った言葉にどきっとした。
なんで子供に銃を向けてるんだ俺は…!
指さされた銃を下ろし、安全装置をつけた俺は、若干の戸惑いはあるものの子供たちに向かって歩く。
ひっ、と息を飲んだちみっ子たちに胸が痛ん……って大量の剣と銃火器が落ちてるんですけどぉお!!!?
いやおかしいだろ!!いやいやいやいやいやいやいやいや!!!
えー!!?と目をひん剥いて床にある凶器を凝視していると、やけに冷静な男の子が鎧の下から俺を見上げてきた。
「どうやら、此処の住人のようだな」
『冷静だなおい!凄い冷静さ!!』
紫の色という何とも珍しい髪のちみっ子、下敷きなのにとても冷静に話しかけてくる。
おいおい…って、早く助けないとな。
まずは顔が真っ赤になった女の子をどうにかしないといけない。
が、俺の家には女の子が着る服なんてある訳がないし、ましてやこんな小さなサイズの服もない。
スーツの上着とカッターを脱いでタンクトップだけになった俺は、泣き叫ぶ女の子に上着を、睨んでくる女の子にカッターを着せた。
そして未だびくびくとしているちみっ子と冷静な男の子の上にある鎧をどけ、一応剣や銃火器と一緒にすみに避ける。
「すまない」
『えっ!?あ、いや…大丈夫…かい??』
「あぁ、大丈夫だ」
起きあがった男の子は丁寧に頭を下げ、やけに子供らしからぬ口調でお礼を言ってきたあと落ちてたデカい兜を頭にかぶったもんだから、目が飛び出そうになった。
重いよ!顔どころか首まですっぽりと見えんよ!!
妙な男の子が落ち着いている一方、ちみっ子の方はまだ泣いたままだ。
兜のあの子はおいといて…あーぁ、宥めに入った子たちも半泣き状態だぞ。
『ほら、泣くなって。殺したりしないから、な?』
「さっ触るなぁあああ!!!」
『ぐ、っふぅ!!』
あやそうと泣くちみっ子を抱き上げれば、予想だにしない素晴らしいキックが鳩尾にヒットした。
油断してたけど、まぁ日頃から鍛えているおかげであまり痛くはない。
「だ、大丈夫か!?」
『ふは…大丈夫。それよりこのちびちゃんどうにかならない?』
「ちびじゃな゙い゙よぉお゙!!」
びぇえと泣き喚くちびちゃんはどう見てもちびちゃんである。
どうでもいいけど泣きやんでくれ。
家全体が防音だったから、廊下に声は聞こえなかったんだなぁと考えながら、とりあえずよくテレビでやる子供のあやし方を真似て優しく抱き寄せてみる。
ぽんぽんと頭を撫でて落ち着かせようと抱っこした。
『悪かったな、もう危ないものは持ってないぞ』
「っく、ひ、ぅうええ………!!」
徐々に激しさが無くなってきた声にほっと一息を吐く。
良かった、泣きやみそうだ。
だがこの理解しがたい状況、どうするべきか……?
過ちを犯したのか
これは俺の子供だったりするとか…ないよな??
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