久しぶりに休暇が取れたから、兄さんに会いに行こうと考えた。
最近はずっと仕事が立て込んでて会いに行けなかった。兄さん、今日は仕事かな。
とりあえず兄さんのアパートに行って、居なかったら諦めよう。
たまの休みだったけど、兄さんも仕事があるんだから仕方ないよね。
半分諦めて、インターホンを鳴らした。一回、二回。

(やっぱり、いない、か…)

そう思って引き返そうとした。だけど、ドタドタと慌しい音が聞こえたと思ったら乱暴に開かれる扉。
そこから顔を覗かせるのは、寝ぐせを付けた兄さんの姿。相当慌てて出てきたんだろう。
かなり息を切らしている。ああ、そんな姿も愛おしい。

「兄さん」

「…は?な、幽…?」

「ちょっと休暇が取れたから、会いに来た。兄さんは、今日空いてる?」

「お、おう…」

どぎまぎしながら兄さんは俺を部屋へ招き入れてくれた。相変わらずあんまり物がない。
兄さん、すぐ壊しちゃうから。兄さんは俺があげたバーテン服じゃなくて、シャツとスラックスを着ていた。
恥ずかしそうに顔を真っ赤にして兄さんは俯いている。会うのが久しぶりだからかな。

「兄さん、仕事は大丈夫?上司さんに迷惑かけてない?」

「だ、大丈夫だ…。トムさんは、いい人だし…」

「いざやって人とは?」

「幽、ノミ蟲の名前は出すな。というか言うんじゃねぇ。虫酸が走るだろうが」

ああ、やっぱり。兄さんはいざやって人の事嫌いだもんね。
俺がその人の名前を出した瞬間に顔が怖くなった。兄さんは顔に出やすいから、本当に分かりやすい。

「ごめん、」

「あ…いや、お前が謝る事じゃ…。あ、そ、そうだ。お前の方は仕事、順調か?今度また映画やるんだってな」

「うん」

「頑張れよ」

ふわり、と兄さんが笑う。この笑顔を見るのは幼い頃から変わらない。
やっぱり、兄弟だから、とか。この想いの前には言っていられない。
俺のこの想いはずっと兄さんには秘めている。だって言ったら気持ち悪がられる。
嫌われたくない。本当は仲の良い兄弟のままでいたいんだ。
だけど、だけど。

「…やっぱり、無理みたいだ」

「…幽?今なんて…」

兄さんの肩を押して、ベッドに倒す。ポカンとしてこっちを見る兄さんはきっとこれから何をされるなんて分かっちゃいないだろう。
兄さんはこういうの初そうだし。もういっその事嫌ってくれてもいいから。お願い。
届いて、この想い。
シャツをボタンごと引き千切って、露わになった白い肌に手を滑らせる。
こんな綺麗な躯してたんだ。なのに毎日毎日喧嘩して。

「勿体無い」

「ふぁ!?」

ペロリと兄さんの躯を舐めた。心なしか甘い味がしたような気がした。
俺が急に舐めた事に相当驚いているのか、兄さんの瞳がゆらゆら動く。
ああ、めちゃくちゃにしてやりたい。そんな思いが俺の中で渦を巻く。
俺も男だ。欲情する時はする。でも、それは最近兄さんの事を考えるとなる事に気付いた。
こんな俺を許してね、兄さん。

「ぇ、や、なに…!?」

胸飾りを指の腹で押したり、抓ったり、噛んだり。そうすればぷっくりと熟したように赤くなる。
兄さんは今の状況に頭が付いていかないようで、虚ろな目で宙を見ていた。
始めての事だから、きっとどうしたらいいのか分からないんだろう。
胸飾りを弄っていた片方の腕を兄さんのスラックスへと伸ばす。そっと足を撫でてやれば面白いようにビクリと震える脚。
ベルトを外して、脱がす。冷たい風に肌が当たるのが嫌なのか、兄さんは小さく脚を擦り合わせた。
そこでやっと意識が覚醒し始めたのか、兄さんが俺の腕を掴んだ。

「かす、か…!お前、何すんだよ…!!」

「俺、兄さんが好きなんだ。恋愛感情として」

そう言ったら、グラリとまた兄さんの瞳が揺らいだ。兄さんはいつからか妙な力を手に入れてから、あまり周りの人間と関わらないようにしていた。
自分はバケモノだから、とか。そんな事を思って遠慮していたんだろうけど。
愛されたいけど、愛されるのが怖くて。俺はそんな兄さんを守ってあげたくて。
だけどその思いはいつからか、愛に変わっていったんだ。もう抑えられないんだよ。

「だからって、なんでこんなこ、と…、ぅあ!」

「ごめん兄さん。言い訳なら後で聞くから」

下着をずらして後孔へと指を伸ばして突っ込んだ。
こんなに余裕がないのって初めてだよ。ローションとかもなにもしてないまま突っ込んだから兄さんが小さく悲鳴をあげた。
幼い頃からずっとみてきた兄さん。ああ、なんて愛おしい。

「ぅ、ぐ…!かす…、も、やめろって、…ぅあん!」

「…ココ?兄さん、ココ、気持ち良い?」

「ひ、あ、ぁぁ!なん…!これ、何…!?」

「前立腺、だよ、兄さん」

「ぅ、ゃん、あ、あ…ッ!」

必死にシーツを掴んで快楽に耐える兄さん。ああ、どうしよう。早く挿れたい。
とん、とん、とソコを集中的に刺激すれば兄さんは生理的な涙を流して声を上げる。
ある程度解した後、指を抜いて俺自身を宛がえば兄さんはポロポロと涙を流しながら止めろと言ってきた。
今更止める訳にはいかないでしょ。それは兄さんも分かってるはず。
だから俺は兄さんの言葉を無視して、兄さんの中へ自身を突き立てた。

「ぐぅ、あ!ぅあああッ…、あ、ふぁ、ン!」

「っ、は…ほら、挿った」

「は、ぁ…ン!くる、し…あぅ、」

そこから腰を引いては入れ、引いては入れを繰り返せばだんだんと滑りが良くなってくる。
兄さんの腰を掴んでギリギリまで抜いて、一気に突っ込めば色を含んだ声を上げる。
その声すら愛おしい。

「兄さん、兄さん。好きだよ。愛してる」

そう言えば、無意識なのか兄さんの顔が緩んで、笑った。…嗚呼、嬉しいんだ。
こんな言葉、兄さんは言われた事がないから、きっと嬉しくて笑ってるんだろう。
愛してる、なんて口では簡単に言えるけど、本来はもっと重いモノなんだから。

「ひゃ、あ、幽ぁ…!や、ゃらぁ…!も、無理…ッ!」

「うん…俺もそろそろ、ね。いっぱい愛してあげるよ、兄さん」

「んあ!あ、ぃ、やだ、ゃだッ、…やッ、あン、あ、ぁああああー…ッ!」

兄さんが外に白濁を出すと同時に俺は兄さんの中に精を吐き出した。
最後に兄さんが嫌だと言っていたけれど、それは達するのが嫌だったのか、俺に愛されるのが嫌だったのか。
理由が分からないまま兄さんはそのまま気を失ってしまった。最初にしては刺激が強すぎたかな。
兄さんが起きたら俺、殴られるかな。ま、それぐらいの事をしたんだから仕方ないかな。
次の仕事に支障が出ない程度になら殴ってもいいけど。兄さん手加減とか出来ないからきっと無理だろう。
できる事なら、この想い届いていたら嬉しいんだけどな。



兄さんが目を覚ましたらまず初めになんて言ったらいいんだろう。

―――――
無理矢理要素がどこにあったんだろう…。
すみません大変お待たせしました響樹様!!
相変わらずのグダグダ文ですがこんなので良かったら幸いです><
リクエストありがとうございました。

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