恋人同士になったはいいものの、相手が一切手を出してこない場合はどうしたらいいのだろうか。
恋人同士と言っても相手は男だし、自分も男だ。
手は繋いだし、キスもした。けど、それ以降はした事がない。
普段は見ないテレビ番組をぼんやりと眺める。はぁ、と何回目かの溜息を吐く。
小十郎は携帯を開いては閉じ。開いては閉じを繰り返す。
もう雄太と二週間以上会っていない。
メールは来ない(変なアドレスからは何度も送られてくるから着信拒否をした)
電話も来ない(知らない番号からは何度も掛ってくるのでこれも着信拒否をした)
なぜしないかというと自分から連絡をするのは恥ずかしいからだ。
だからかれこれもう二週間。互いの生活もあるのだからしょっちゅう会っていられる訳がない。
小十郎はまた溜息を吐く。
「んなに溜息ばった吐いてっと、ハゲるぞ」
「…政宗様、それを言うなら幸せが逃げる、です」
「お前にとっちゃ同じようなもんだろうが」
「だいぶ意味は違うと思うんですが」
小十郎の上司、輝宗のご子息である政宗がボソリと呟く。
ハゲるもの嫌だし、幸せが逃げるもの嫌だ。だけどどうしたらいいのだろう。
うーん、うーんと一人頭を抱えて唸っていると、
「襲ってみりゃいいじゃねぇか」
「おそ、…?」
政宗は小十郎に彼氏がいる事は知っているが、相手が男だとは知らない。
(俺が…雄太を、襲う…のか?)
雄太は中学時代からの親友であり、なにより喧嘩っぱやい事で有名だ。
力も強いし、体力もある。背も高い。男の自分としても憧れる。
(けど…襲ったところで反撃されるのがオチ、だな)
また、溜息を吐いた。
*****
久々の仕事の休暇日。買い物でもしようと街に出かけた数分後。
目の端に映る雄太の姿。
「雄太!」
「んぉ?ああー!小十郎!」
ニコニコしながら雄太が走り寄ってきた。…と思ったら違った。
「てめぇええ!俺が何度もメールやら電話やらしてやってんのに着信拒否とはどぉーいう事だコラぁ!」
「はぁ…?なんの事だ?」
「俺も仕事があったから中々会いに行けなかったから、今日やっと暇が出来たから家に行こうと考えてたんだよ!」
なんでこんなに怒っているんだろう。何か…したのだろうか?
思い当たる節は…。
「あ」
「あぁん!?」
「雄太、お前もしかしてメアドとか…変えたか?」
「おう。メアドと番号変えましたって連絡入れたろ?」
そういえば。三週間前あたりにそんなメールが来ていたような…。後で登録し直そうと思っていて忘れていたんだった。
思い出してしまったのが運のつき。ブチリと何かが切れる音がした。…ような気がした。
恐る恐る雄太の顔を見れば、顔は笑っているものの怒りのオーラが滲み出ていた。
「ちょ、ちょっと待て雄太!落ち付け!」
「待たねぇよ…。お前がどれだけ機械に疎いかは知っているつもりだったが…こればっかりは許せねぇなぁ、おい」
「俺も仕事が忙しくてだな…!」
「…好きなやつに着信拒否される思いがお前に分かんのかよ」
ふと見えた哀しそうな表情。それに呆気にとられ、腕を強く掴まれそのまま引きずられるように歩き出した。
何度声を掛けても無視。ああ、これは余程自分が悪い事をしてしまったんだと思った。
無理矢理連れていかれた先はラブホテルだった。まさか、と嫌な予感が頭をよぎる。
部屋に着いたらそのままドンッとベッドに投げられる。馬乗りにされて服を破られた。
しまった。今日は買い物だけだと思って出てきたからラフな格好だ。
そこからは雄太はずっと無言だった。後に指を入れられる時も。
躯を舐められる時も。出来るだけ声を出さないようにシーツを噛んで耐えていた。
(俺が襲う…というより、俺が襲われちまったな…)
政宗様、どうやら小十郎は女役の方らしいです。
指が引き抜かれて今度はもっと太くて熱く高ぶったモノが押し宛てられた。
始めてなのに。これは自業自得というやつだろうか。
「ひぐ、ぅ、うううッ…!」
痛い。予想していたよりもっと深い痛さだった。自然と涙が出てくるのが分かる。
これが、もしかして雄太が負っていた痛みなのだろうか。
こんなのが心に突き刺さったら俺は耐えられないかもしれない。ごめんと雄太に言いたい。
「ぁ、あ、ひ、ぅ…!」
でも、声を出したくても出てくるのは言葉にならない音。痛い、と雄太の叫びが聞こえてくるようだった。
「ぁ、雄太ッ…悪かっ、たッ…っ!俺が、ぁ…悪かった、から!」
ポツリポツリと降ってくるのは雨ではなく、涙。雄太が、苦しそうな顔をして泣いていた。
痛い、と訴えていたのだ。必死に抱きとめてやれば小さな声で謝られれる。
「ご、めん…小十郎、俺…」
「俺の方こそ…悪かった…。ン、…もう泣くな」
「泣いてねぇよ…ッ、…啼くのは、小十郎のほうだろ?」
「は?…ば、お前…!」
「えへ、反省なんてしてないんだぜ!…このままヤっちゃうからな?」
「んな!ァ、ちょ…待、て、あぅううッ!」
雄太の顔がニヤリと笑う。そのまま腰を掴まれて強く打ちつけられる。
痛さはもう消えていたが、変わりに快楽の方が強く出初めていた。
髪が乱れる。涙で目の前が霞む。荒い息使い。
ビクンと脚が震えた。絶頂が迫ってくる。
「ひぅ、ぅ!ァ、雄太…!、も…もう、無理ッ…」
「は、あ…?はは、イっちゃえよ」
「ん、く…ぁぅ、んんんーッ」
ビクビクと白濁を出せば、呼吸が苦しくなる。必死に空気を吸い込む。
そして聞こえる笑い声。
「うひひひ、小十郎の初めて、奪っちゃった!」
「…笑い、事…かよ。というか何だその笑い方」
「だって、嬉しいじゃんか」
ニヒヒヒ。そんな笑い方が似合う男は雄太しかしないだろう。
最初は怖いと思った。自分のせいだったから。嫌われたら嫌だったから。
「雄太、悪かった。ちゃんと登録し直すから」
「しなかったら一生許さねぇかんな!」
そのまま二人は強く強く抱きしめ会った。
すれ違ったって僕らは巡り会うのさ
(よし、お前の携帯俺が登録し直しておいてやるよ!)
(ああ、悪い。ありがとうな)
(ん、…よし、I LOVE 雄太っと…)
(おまッ…なんて登録の仕方しやがる!恥ずかしいからヤメロ!)
(んだよー。どうせお前しか見ねぇだろうが)
――――――
お待たせしました陣様!あれ…裏が少ないよ?
あああ、すみません相変わらずグダグダです!
小十郎…だろうか、アレは。うう、模索中です…!
いつもリクエストありがとうございます!
これからもよろしくお願いいたします!