御礼&企画小説 | ナノ
*悲しみに寄り添う*



 ああ、ほらまただ。

 手を繋いで、楽しそうにしているフレンとパティ。そして、それを切なそうに見つめている桃色の少女。

 名前もしらない。よくこのお店に花を買いに来る、この少女。この少女のことで知っているのは、高校生ということ。金持ちだということ。そして――フレンのことが、好きだということ。
 憂い気にため息をこぼす少女は、いつもオレの所へ来る。そして、今日もやっぱり俺のところに来た。そして、こういう。


「お任せで何か花束をお願いします」
「!」


 先読みしていってやれば、少女はびっくりしたように目を開く。それが面白くてくつくつ笑えば、少女はバツの悪そうな顔でうつむいた。


「間違ってた?」
「……間違ってないです」


 そりゃあそうだろう。彼女がオレのところに来て、これ以外の言葉をいったことはない。
 オレはガラスケースから花を取り出し、花束をつくっていく。


「そんなに好き? フレンのこと」
「な!! そんな、わたし、ちが……」
「隠すな隠すな。丸分かりだから。気付いてないのは本人くらい」


 ほっと息をついた少女は、オレが花束をつくっていく様子を見ている……ように見せかけて、その近くで楽しそうにしているフレンを見ていた。

 べつにいいけど。好きな奴を目で追うのは、仕方ない。


「その花……」
「ん?」
「その、青い花」


 少女が指差したのは、オレが花束の中に入れたリンドウ。
 少女は不思議そうに首をかしげ、エメラルドの瞳でオレを見上げた。


「その花、好きなんです?」
「なんで?」
「いつも、お任せで頼むとその花が入ってるから……」


 気付いてたのか、と心の中で苦笑。

 オレはそうだよ、と答え、意地悪く笑ってやる。



「アイツみたいだろ? 色とか、この真っ直ぐ伸びてる感じとか」



 嘘だ。

 そんな理由で、この花をいれてるわけじゃない。



「はい、おまちどさん」
「ありがとうございます」



 花束を受け取り、お金を払い、彼女は去っていく。

 彼女のことは知らない。知っているのは高校生ということ。金持ちだということ。フレンが好きだということ。そして――オレが、彼女を好きだということ。

 青いリンドウ。彼のイメージカラー、そして真っ直ぐ伸びた凛とした姿。

 それから、花言葉。


 想いは告げる気はない。ただ、悲しんでいる彼女にオレは寄り添うだけ。



 ただ、それだけ。









(その姿が美しいから)



++++++

リンドウ
花言葉は『悲しんでる君が好き』

フレパティ←エステル←ユーリです
ユリエス←パティ←フレンはよく書くんですが、これは書いたことなかったんで新鮮な気持ちでした!
拙い作品ではありますが、よろしければ受け取ってください!

それでは花言葉企画参加ありがとうございました!
またのお越しをお待ちしております!

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