御礼&企画小説 | ナノ
*花屋の前にて*
「お好きなものをお選びくださーい」
僕はパティに手をひかれるようにして、花屋の中に入る。
可愛らしく、きれいなお花がバケツの中に並んでいて、僕をじーっと見ている。気がする。
「しゃきっとするのじゃ! フレンが花にするっていったんじゃろ?」
「だって、女性への贈り物っていったら、花が基本だろう?」
「じゃからって、一人でかいにこれんようなものを選ぶな!」
「だって……」
お店の人に笑われているのに気付き、僕たちははっと押し黙る。
パティは馬鹿っと小声で言い放った。
「お店の人に笑われたじゃろ!」
「僕のせい!? パティが大きな声で僕を怒るからだろ?」
「うるさい!」
小声のやり取りでもどうやらまる聞こえらしく。
一時休戦じゃ、といったパティに僕は頷いた。
「どんな花がいいかな?」
「バラでいいじゃろ」
「それじゃあ、愛の告白みたいじゃないか」
「花を贈る時点でそんなもんだと思うけどの」
「もしかして……妬いてる?」
「まさか」
ぷい、と顔を背けたパティのその頬は赤い。
すなおじゃないなあ、なんて思いながら僕は口元を緩ませた。
「大丈夫だよ。送り手はソディアだし、他意はないから」
「……あっちの気持ちを知らんからそんなこというんじゃ」
「ん? なにか言ったかい?」
「なーんもいっとらんわ!」
パティはバケツに入った花を眺める。
本当にいろんな花があるんだなーって眺めていたら、パティがあ! と笑った。
「みろ! これ、フレンにそっくりじゃぞ!」
パティが指差したのは、一本の黄色い花。
札には、フリージアと名前が書いてある。
「これが? 僕に?」
「うむ。この黄色いところとか、ピシッと背を伸ばして上向いてるところとかの」
あと、花言葉も。
ぼそっと言い放たれたそれは、ちゃんと僕の耳に届いて。
だけど意味がわからず首をかしげれば、パティは苦々しげな表情を浮かべた。
「ねえ、それどういう意味?」
「教えてやらん。自分で調べるんじゃの」
パティはチラリとこちらを見て、おおきなため息をついた。
「……プレゼント、やっぱり花束はやめるのじゃ」
「え?」
「フレンがそんなんじゃと、うちは違う男のところに行ってしまうからの」
とっととお店を出て言ったパティ。
その髪の間にある耳が真っ赤になっているのを見て、僕はほほ笑んだ。
(やっぱり妬いてるんじゃないか)
(妬いとらん!)
++++++
フリージア
花言葉は『無邪気』
ソディアへの贈り物に花をチョイスする無邪気さにパティがいら立っているというお話です。
実は、フリージアを一目見たときから、ひふみの中でこの花はフレンでした(笑)
なので、この花のリクエストがフレパティできてテンションあがりまくりです!
それでは、企画参加ありがとうございました!
またのお越しをお待ちしております!
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