あとがき



生を悼む、最後までお読みいただきありがとうございました。

人生って、苦しいですよね。生きるって、本当に大変ですよね。
思っているより"死"というものは、私達の近くにいるものだと思っています。
何か大きいショックな出来事があって死にたくなった方もいるかもしれません。
どうしようもないことに追い詰められて、死ぬこと"しか"できなくなった方もいるかもしれません。

でも、そんなそれらしいきっかけなんてなく────ただ、本当に"なんとなく毎日を生きるのが辛い"と思っている人も、たくさんいるのではないかと思っています。
今回のヒロインは、その希死念慮に共感が集まるように少しばかり辛い境遇に遭ってもらいましたが、基本的にはそういう"なんとなく死にたい"を抱えている"どこにでもいるような仄暗い女の子"を意識しました。

人間にはできないことがあって当たり前です。
全ての人から好かれるなんて、無理な話です。
うまくいかない日の方が多いし、思ってもいないところで人と衝突するし、なんてことのない小さな失敗をいつまでも悔やんでしまう。
"たいしたことない"と頭ではわかっていても、心がそれに追いつかない。

わかっているのに。わかっているのに…って、そういう悪循環ほど抜け出しにくいものですよね。

だからこそ息抜きと呼ばれる"何もできなくて良い"とわからせてくれる何かが、人には必要なんじゃないかと常々思っていました。
この話が、そんな頑張り屋さん達に寄り添える話になれたら嬉しいな、と思っています。

私はこの話を"読むおくすり"になりますように、と願いながら書き始めました。
キャラクターに聞こえの良い言葉ばかりを吐かせてしまったな、というところは反省点していますが、ここでは黒尾も研磨も"生"の努力を認めた上で、いよいよ立ち行かなくなった末の"死"という選択肢を優しく受け入れています。

だから、どうか"死にたい"と思うことが悪いことだと思わないでください。
でも、その上でどうか逃げ道を作って、完璧でなくても良いのだと少しだけ自分のハードルを下げてあげてください。

人の人生に責任を持てるほどできた人間ではないので"生きろ"と強く言うことはできないのですが、それでもこうして同じ夢を共有してくださった方々には、たくさん楽しいことに巡り合って、努力が報われなくとも"努力した"というその過程を誰よりも認めてあげてほしいと願っています。

そして生きていることが楽しい方には、そのまま人生をたくさんたくさん楽しんで、その隙間で死にたいと思っている人間の"そこはかとない閉塞感"をのっぺりと知っていただけたら幸いです。

上から目線の言葉が続いて申し訳ありませんでした。

黒尾と研磨のやり取りについてはヒロインのあずかり知らないところでコッソリ行われている部分も多いので、これから6話構成の番外編(裏話)を更新していく予定です。
「生を悼む」、本編は一旦これにて完結ですが、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

全ての死にたい方へ。
そして、全ての生に幸せを感じている方へ。
この物語が少しでも心に届いたなら、何よりも嬉しいです。

重ねて御礼申し上げます。この暗い話を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。









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