Be Happy Together、ここまでお読みいただきありがとうございました。


親世代の話は6年近く温めていたものでした。
原作やポタモアなどでツギハギに語られる親世代の物語をひとつに繋ぎ合わせたら、それはどんな歴史になるんだろうと考えたことがこのお話の始まりです。
もちろん夢小説なので創作ヒロインもいますし、恋愛もしていますし、親世代の行動原理や思想に思い切り"本来いなかったはずの人物"が食い込んでいますが、この話は私の中では「ひとつの親世代の解釈」という位置づけにあります。


いつもなら長編の最後には各キャラへの想いを後付けで書いているのですが、こればかりは本編の中にこれほどかというまでに(それこそグダグダになってしまうほそ)詰め込んだので、ここではこれ以上語らないこととします。


ただ数点だけ、私が書く上で葛藤した部分を少しだけ語らせてください。

まずシリウス。
5年生の時、スネイプにリーマスの秘密を喋ってしまったシーンです。
原作では「ちょっとした悪戯」のつもりで言ってやった、程度の言い方しかされていませんが、私はそれは彼らの若気の至りを自虐する意味があったのではないかな、と個人的に考えています。
「友達を売るくらいなら死ぬ」とさえ言ってのけたシリウスです。本当に「ちょっとした悪戯」で、友達を危険な目に遭わせることがあるんだろうか…と考えた末、ああいう展開に持って行くことにしました(73話)。
あれは間違いなくシリウスの失態ではありましたが、後にリーマスとシリウスはきちんと和解しています。その上で、年を取り、物の分別がついた頃、ようやくあれを「ちょっとした悪戯のつもりだった」と笑って言えるようになったんじゃないかなと、そう思っています。


次にスネイプ。
6年生の時のホグワーツ戦争において、スネイプがリリーにクルーシオを使用したことについて、「彼は本当にリリーに許されざる呪文を使うだろうか」という疑問がずっと自分の中にありました。
結論としては、死喰い人にとって許されざる呪文は"闇の魔法の最高峰"のようなものであり、むしろ(作中でも書きましたが)下手にステューピファイやセクタムセンプラを使うより余程高尚で傷も浅く済むものだったのではないか…という解釈に落ち着いています。

スネイプが人気なキャラクターであり、彼のリリーへの愛が紛うことなき純真なものであったことは私もよく理解しているつもりですが、だからこそ、あの時のスネイプの選択は"スネイプにとって"は決して許されざる行為ではなかったのではないかと思っています。

この辺りは大きな解釈違いを生んでしまうかもしれないと不安もありましたが、それでもこのページを読んでくださっているということは、「それは私の勝手な妄想」だと考えを切り分けてくださったからではないかと思っています。その点も含め、ありがとうございました。


最後にレギュラス。
彼の死の真相は、誰かひとりだけで良いから知ってほしかったという思いが強くありました。

でも原作では誰も知らないはずですから、捏造してまで知ってほしくはなかったのです。そんな葛藤の末、ヒロインにその重荷を背負ってもらうことにしました。それでレギュラスが浮かばれるとは思えないのですが…彼のキャラクター像を頭の中でしっかりと構成することに一番頭を悩まされたことが、今では良い思い出となっています。


また、今回はせっかく"小説"が原作だったので、フォントや文字の大きさなども度々変えることで、少しだけ翻訳版に寄せてみました。新しい試みだったので楽しかったです。


そして最後に。
今回の話のテーマを一言でまとめるなら「自我」です(タイトルは「幸福」ですが…)。

完全な善人もいなければ、完全な悪人もいない。
手放しに善とすべき思想もなければ、勝手に悪と断ずべき思想もない。
理想と現実の間には、想像を絶するほど深い溝がある。

混沌とした世の中で、"自分"を守るための戦いをする。
その中で友情を育み、愛を芽生えさせ、意志を未来へと継承していく。
ピーターも含めて、"自分"と戦い続けた勇敢な親世代のキャラクター達の姿を描くことができて、本当に幸せでした。

ちなみに私の中では8章までが本編、別視点の番外編を挟んで最終話はちょっとした小話、という認識でいます。少しそれまでの熱量と比べて物足りなさがあるかもしれませんが、最後だからこそ、今までたくさん悩んで苦しんできたからこそ、あっさりと幸せを掴んでほしかったのです。嘘のようにこれまでの痛みを覆す幸せが続き、更にラストのジェームズの御伽噺にでも出てくるかのような元気なセリフを加えることで、彼らの幸せは完成したのだと…そんなつもりでおります。


私の拙い文章では伝わりにくいところがあるかもしれませんが、それでもこの話こそが、私が「ハリーポッターシリーズ」というひとつの大きな素晴らしい物語の中で感じたものの全てです。
改めて、そんなクソデカ感情にまみれた感想文に最後までお付き合いくださり、本当にありがとうございました。


今のところハリポタの長編をこれ以上作るつもりはないのですが、短編ないし数話構成による中編、あるいはこの話の番外編などは思いつく限り書いてみたいなと思っています。親世代はもちろん、ウィーズリーの双子なんかも大好きなので。
ネタは万年切らしている状態なので、よろしければ「こんな話が読みたい!」とお気軽にリクエストを送ってください(番外編、通常の短編、どちらも大丈夫です)。少しお時間をいただくこともあるかもしれませんが、心を込めて書かせていただきます。


それでは、また皆様がふと思い出してくださった時にここを訪れてくださることを願って、あとがきとさせていただきます。ありがとうございました。



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