10月の末。
明日の月末最終日には、いつも通りピーターの隠れ家を訪ねる予定になっていた。
7月にピーターの置かれている状況(ヴォルデモートに守人の正体だと知られている状況)を把握した後、シリウスとは月に一度、彼の家を訪れるようにしている。

ピーターは突然訪問頻度を上げてきた私達に驚いていたようだったが、「ひとりだとやっぱり気が滅入るだろうと思って」とその一言を言うだけで納得したようだった。
ただ、気になるのが、行く度にどんどん彼が憔悴していっているということだ。

先月末に行った時なんて、私達がいつもの合言葉でちゃんと自分の証明をしてから家に上がらせてもらったというのに、彼はずっと落ち着かない様子を見せていた。私達相手にも何か探るような視線を走らせ、言葉の端々を歪曲して捉えているようだった。

「この間、シリウスにエンゲージリングを買ってもらったんだ。結婚式は来年にジェームズの家を借りて慎ましくやろうと思ってるの。私達はどっちも両親と縁を切ってるし、親しい仲間だけを集めるつもりなんだ。良かったらピーターも来てね」
「ぼ、僕なんかが行ったら空気をぶち壊しちゃうよ。それとも何か理由があるの? 僕を呼んで何かさせるつもり…?」
「いや、そういうつもりじゃなくて…」

私はただ、学生の頃からずっと仲間だった彼を純粋に招待したかっただけなのに。彼はだんだんと、自分が悪戯仕掛人のメンバーだったことを忘れていってしまっているのではないかとすら思わせてきた。

「おいおい、今のはないぜワームテール。結婚式っていうのを置いても、僕らがまた集まろうって話をしてるのに、君だけ仲間外れにするなんてそんなことあるわけないだろ」
「僕なんか、最初から君達には相応しくなかったんだよ。いつも守ってもらうばっかりで、僕は…君達に憧れて、無理して背伸びして後ろをついて行くことしかできなかったんだから」
「それで僕らが一度でも君を拒んだことがあったか? 何か悪戯を仕掛ける時、君を邪魔者扱いしたことがあったか?」

ウジウジと悲観的なことばかり言うピーターに、シリウスの口調にもだんだんと苛立ちが募っていく。

「ちょっと、シリウス。言い方がキツいよ」
「だってこいつが今更そんな弱腰でいるのが悪いんだろ。こいつがビビりだなんてことは最初からわかってたさ。それでも僕らはこいつといつもつるんでた。それに僕らは、こいつのいざって時の閃きや、マジでヤバい時の逃走能力に大いに頼ってたんだ。背伸びしてるだけの僕らの腰巾着だなんて、一度も思ったことなんてない!」

友情を感じているからこそピーターの物言いに憤る気持ちはわかるが、今の彼にそこで怒りを露わにしたところで逆効果になるだけだ。私はそれでも「それはわかるけど、ただ大きい声を出したところでその気持ちは伝わらないよ」と冷静にシリウスを止める。

「ピーター、今の聞いてたでしょ? あなたは自分のことを過小評価しすぎなんだよ。シリウスはピーターが自分を貶めることに怒っちゃうくらい、あなたのことを対等な"友人"として想ってるんだ。だからあなたも、そんな風に言わないで」
「無理に慰めようとしてくれなくて良いよ…。結局僕には逃げ隠れすることしかできないんだから。日の光が当たる場所なんて、僕には似合わないんだ、最初から」

これはまずい、と思った。
私達は仮にも闇に対抗する"光の魔法使い"だ。そのひとりが、光を忌避するようになってしまったら────あっという間に、闇に呑まれてしまう。

シリウスもそれは察知したのだろう。ガタンと立ち上がると、ピーターの胸倉を掴んだ。

「僕らはいつだって太陽の下を堂々と歩く! 君だって同じだ! 闇の合間しか動けないような臆病者に成り下がるな! 日の光の下でも、月の光の下でも、僕ら自身の輝きが失われることは決してないんだ! ワームテール、思い出せよ、僕らは自ら光を選んだ誇り高き魔法使いなんだ!!
「シリウス、乱暴はダメだってば!」

私は急いでシリウスをピーターから引き剥がした。しかし彼の言葉が正しいことはわかっていたので、それ以上は何も言わず、ただシリウスの気持ちが落ち着くまでそっとその背中をさする。

ピーターはすっかり怯えたようにガタガタと震え、小さく縮まってしまった。それほどまでに、隠れ家でのひとりきりの生活とは孤独と恐怖を助長させるものなのだろうか。そうなのであれば、2人で支え合いながら生きている私とシリウスの言葉など、もはやひとりぼっちになってしまった彼には届かないのかもしれない。

それでも、秘密の守人を一度引き受けたからには、彼にはその時の覚悟を忘れてもらうわけにはいかない。私は彼に何と言ったら良いのかわからないまま、歯噛みしていた。

「ピーター…。シリウスの言ってることは、間違ってないと思うんだ。私だって憶病だし、立ち向かうより逃げる方が本当は性に合ってる。でも────あの日、騎士団に入って戦おうって、私達全員が一緒に決めたよね。あの時から私達の気持ちはずっと同じだよ。離れてても、姿が見えなくても、私達はいつだって一緒。どうか、それを忘れないで」

その日はそれ以上会話になりそうもなかったので、「またすぐに来るね。今度こそ、楽しい話をたくさんしよう」と言ってピーターの家を出た。

あれから、1ヶ月が経とうとしている。
今でも先月のあの言葉が正しかったのかどうか、あまり自信がない。ピーターの孤独を更に深堀りしてしまったのではないかと不安になることも多々あった。

誰かの命を預かるということは、それほどまでに人に重圧をかけるものなのだ。

明日、ピーターと会ったらどんな話をしようか。何か、街でおいしいケーキでも買って行こうか。そんなことを考えながら夕食後、皿を洗って一息ついた時だった。

「────イリス、少し出かけないか」

食卓を片付けてくれていたシリウスが、バイクのキーを持ちながら私にそう言った。

「今から?」
「ああ。久々に空を飛びたい気分なんだ」

その声が少しだけ固いことに気づいた私は、シリウスもまた先月ピーターに荒い言葉をかけたことに何か思うところがあったのだろうと推察する。明日を迎える前に少し気分転換をしたいのだろう────そう思い、少し厚手のコートを着て彼の前に立つ。

シリウスはどこか悲しげな顔で私に微笑むと、家を出てオートバイに乗るよう指示した。
シリウスが乗り込んだその後ろに私も跨り、いつかのように彼の腰にしっかりと手を回す。

エンジンをかけるとオートバイはすぐさま唸り声を上げる。オートバイの"内側"にいる私には、どこか遠くで何かの機械音が鳴っている程度にしか聞こえなかったが、おそらく今これはとんでもない爆音を上げているところなのだろう。毎度彼がオートバイに乗ったという話を聞いては、一番最初────ホグワーツの6年生になる夏に初めて聞いたあの轟音を思い出し、よくもまあ周りの人々はこの音で飛び起きないものだなと感心していたものだった。

オートバイは静かに上昇し、あっという間に家の屋根を越え、周りの森の木々を越え、空高く上昇した。掌で掴めそうなほど小さかった月が、今は私の体よりずっと大きく見えるような気がする。

歩いて30分かけないと辿り着かない隣の村も、今では小指の先を一本動かすだけで届いてしまうほどの小さな間隔に収まっていた。隣村だけじゃない、その更に隣の町も、もっと先へ行った大きな市街地も、全部私の両目の視野に入っていた。

「風が気持ち良いね」

囁くように言ったその言葉は、しっかりシリウスに聞こえていた。

「そうだな」

────前はもっと、地上の星々が明るく輝いていたような気がするのに。今は頭上に煌めく、人の手では消すことのできない星しか灯っていなかった。民家はほとんど全て、暗く、静かになっているのだ。身に迫る危険を知らない一部のマグルの住む区域だけ、まばらに明かりがついていた。

「皆、ヴォルデモートを恐れてるんだね」
「ああ。部屋の中で明かりをつけていたとしても、おそらく窓の外にその明かりが漏れないよう魔法をかけてあるんだろう。────ここは静かだ」

少し前までは、人がたくさんいた街。
今もたくさんの人が生きているはずなのに、まるで皆死んでしまったかのようだった。

「不思議な感じ。シリウスとこうやって空を飛んだのはついこの間のことみたいに思えるのに、景色が全く変わってる」
「そういうもんさ」

そういうもんなのか。
私達は、月明りと朧な頭上の星明かりだけを頼りに、静かな街の遥か高みを飛んでいた。

シリウスは20分程バイクを走らせると、6年生の時に来たところと同じ場所にバイクをそっと下ろした。山の山頂付近にある、柵のつけられた展望台。まだ山崩れの名残がそこにあり、工事を諦めたのか、それとも遅々として進んでいないだけなのか、事故直後の裸になった山肌が荒々しく背後に控えていた。そのお陰で、今日もそこには誰もいない。

あの時、空と地の両方が浮かべる星に挟まれているようだと思ったあの気持ちが、懐かしいと思えた。目を凝らすと地上にも明かりが見えるような気がするのだが────それは、私が単に地上の星を見たいと願った末に生まれた幻覚なのかもしれない。

「────前にここへ来た時は、まだ僕達はどちらも無知で────明るい希望だけを抱えて"騎士団に入ろう"って言ってた頃だったな」
「そうだね」
「あれから────色々変わっちまったな。世界も────僕らも」
「そうだね…」

相槌を打つ私の声が、少しずつ小さくなっていく。
何もリスクを顧みず、ただ瞳を輝かせて「騎士団に入る」と言った彼に、私は「危ないことをしないで」なんて頼んだりもした。でも結局、あんな風に家の明かりを消して隠れ住むより────危険を冒して敵地に乗り込んで行った方がきっと、彼を"生かしてやれる"と思ってしまったのだ。安全を取って守りに入ったところで、シリウスはただ"命のある死体"になってしまうだけだと。

「"自分の安全"だけを考えて、毎日ダラダラと"平和な日常"を送ってる僕と、"自分が信じたもの"のために、多少無茶をやらかしても"エキサイティングな日常"を送ってる僕。僕にとって、どっちの方が幸せだと思う? どっちの僕の方が、自由だと思う?」

シリウス・ブラックという人間は、どこまでも"自分のため"だけに、冒険をし続けていないと生きていられない人間だった。

「僕は、僕らしく生きるよ。そしてそんな僕を好きになってくれた君に、いつだって誇れる僕であると約束するよ」

だから私は、そんな彼の生き方を尊重すると決めた。彼に彼らしく生きてほしい。そして私は、いつだって彼の"帰る場所"でありたい。
彼が自由に世を駆けられるように。彼が背後を気にせず戦えるように。

「子供の戯言だと思って聞いてくれて良い。僕はまだ、騎士団がどれだけ危険なことをしているのかを知らないし、世の中がどれだけ脅威に晒されているのかも知らないんだから。でも────たとえ何を知っても、僕のやることはきっと何一つ変わらないだろう。そして、その先で僕はどれだけ危険を冒そうとも、何を知ろうとも、必ず最後には君のところに帰るよ。何年もかかってようやく僕の手を取ってくれた君のことを、離したりはしない。それだけは約束する」

私はそんな彼に、ただ「ついて行くよ」と、それだけを返した。

「────シリウス」

眼下に広がる景色は暗い。世界が死んでしまったかのようなそんな錯覚に陥る中で────。

「────変わってないもの、あったね」

ひとつだけ、あの時から変わっていないものが。

シリウスは隣に立つ私を黙って見下ろした。私の言わんとしていることがわかっていないようで、口を挟まず言葉の続きを待っている。

「シリウスがあの日言ったこと。私があの日それに返したこと。世界のことなんて何も知らなくて、自分達がこれから何をすべきなのかもよくわかってなかったのに────私達の"想い"だけは、何も変わってない。私もあなたもその間に何度か迷ったことはあったけど────今こうして立ってみて改めて思ったよ。迷ったところで、悩んだところで、結論はあの時から何も変わってないんだって」

私が信じているものは、あの時から何も変わっていなかった。
どれだけ地上の星が消えようと、どれだけ空が闇に包まれようと、私の隣で輝く一等星がその光を放ち続けている限り、私が道を見失うことはない。
私の命は、この光のためにある。あの時交わした細く拙い約束は、今や強固な糸が縒り合わさって紡がれた、どんな魔法でも経ち切れないであろう太い綱となって私とシリウスを繋いでいた。

「だから────これからも、ずっとあなたについて行くよ、シリウス。私はあなたの隣で、その光を受けて誰よりも輝いてみせる」

シリウスは私を強く抱き寄せた。彼の匂いが私の空いた胸を満たしていき、安心感のせいなのか単に彼の体温が高いせいなのか────体がぽかぽかと温まったような気がした。

「イリス…僕の手を取ってくれてありがとう。僕を信じ、ついて来て────いや、むしろ手を引いてもらったことの方が多かったかもしれないな。君にここまで導いてもらえたことが、僕の何よりの幸せだ」

彼の声が、耳を擽る。でもそこに不快感などはなく、抱きしめられたその温かさと一緒に私の心を優しく抱きしめるようだった。

「改めて約束するよ、イリス。僕はこの先、どれだけの危険に晒されようとも、どれだけ過酷な真実を知ろうとも、最後には必ず君の元に帰ると」
「────うん。私も、約束する。必ずあなたの帰りを待ってる。どれだけ長い時間がかかっても、どれだけ遠くへ行ってしまったとしても、私のいるところがあなたの帰る場所だから」

あの頃よりずっとずっと暗い世界の中。
私達は再び、子供のようなキスを交わしてその約束を呑み込んだ。










翌日、夕方。

私とシリウスは、オートバイに乗ってピーターの隠れ家へと向かっていた。姿現しをしなかったのは、先月ピーターが「姿現しで突然来られると怖いから、次はオートバイに乗ってきてほしいな…そしたら君達が来てくれたんだって遠くからでもわかるから」と言っていたからだ。
私の手には、街で評判のケーキが3つ入れられた箱がある。今日は先月の乱暴をちゃんと謝って、仲良くケーキを食べるというミッションをシリウスに課していた。

「弱虫の毛虫さん、優等生とその忠犬が来ましたよ」

いつもの言葉で合図をするが、返事がない。

「おかしいな、反応がない」
「聞こえなかったのかな? 寝てるのかも」

いつも来る日と時間帯は同じなので、なんだかんだで私達の来訪を待ち侘びてくれている(と本人が言っていた)ピーターが外に出ているとは考えにくい。私はもう一度、決められた回数のノックをしてから同じ言葉を繰り返した。

そのまま5分程待つが、やはり何の返事もなかった。

私とシリウスは目を見合わせ────そして、その瞳に映る自分の顔に恐怖の色が浮かんでいるのを見て取った。シリウスの顔も強張っている。
今、きっと私達は同じことを考えているのだろう。

まさか、ピーターはヴォルデモートの手にかかってしまったのだろうか────!?

「中に入らないことには何もわからない! 杞憂であってくれよ────」

シリウスはそう言うと、ピーターの家にかけられた防御魔法を早口で全て解き、最後に「アロホモラ」と開錠呪文をかけて扉を開けた。

部屋の中は、もぬけの殻だった。

「誰もいない…? ピーター!? イリスだよ、シリウスも一緒!」

呼びかけるが、返事はなかった。

「っ…僕は1階を見てくるから、」
「わかった、私は2階を見てくる!」

急いで自分達の捜索範囲を定め、私達は二手に分かれた。階段を2段飛ばしで上がり、寝室、客間、トイレ────あらゆる場所を探す。カーテンの裏、ベッドの下、戸棚も全て引き出して中を漁ったが、ネズミのピーターですら見つけることはできなかった。
ゴミ箱の中にある空のインク瓶の中でさえ、空っぽ。私は最後に人間探知呪文をかけてみたが、人が現れる様子はそれでもなかった。

嫌に静かな部屋の中で、自分の足音と心臓の音が気持ち悪いほど大きく響く。
私は再び1階へと転がるように降りていくと、ちょうどシリウスがバスルームから出てくるところに鉢合わせた。

「あとキッチンだけ見られてないんだ、手を貸してくれ」

そう言われ、私達は一緒になって雑多に物の置かれたキッチンを捜索する。鍋の中、排水溝の中、生ゴミの詰まった袋の中にも杖を突っ込んで生き物の気配を探すが────ここにも、何もいなかった。

「どういうこと…? ピーターがどこにもいない…。まさか、本当にヴォルデモートに…」

荒れた家のリビングに立ち尽くし、私は最悪の事態を想像する。
しかしシリウスは冷静に何かを考えているようだった。

「ちょっと待ってくれ。何かがおかしい…
「何かって?」

素直に尋ねると、彼は家の中をぐるりと見回してから最後に私の目を捉えた。

「考えてみろよ。僕らが来た時、この家はあまりに綺麗すぎたじゃないか。争った形跡がないんだ
「あっ────」

私は改めて、私達が荒らした部屋を見回す。
必死で引っかき回したせいで今やここはまさに空き巣に入られたような惨状になっていたが────私達が家に乗り込んだ時、ここはとても整然としていた。ついさっきまで人が優雅に暮らしていたと言われても納得できるほど、綺麗に保たれていたのだ。

仮にヴォルデモートがピーターを襲ったとしたら、彼は決闘こそできなくとも必死で逃げることだろう。ネズミの姿にでもなれば、捕えるのは余計に難しくなる。そんな中で攻防を繰り広げていたら────それこそ、ソファのクッションのひとつくらいは破れていないと却って不自然だ。

「ヴォルデモートが後から原状回復したって可能性、あると思う?」
「逆にあると思うか? あいつがワームテールを狙ってることは既に知れてることで、あいつが知りたい秘密っていうご馳走が目の前で食べられるのを待ってる状況だぞ」
「…ないね」

それでは、ピーターはどこへ行ったというのだろう。
ヴォルデモートに襲われていないのに、彼が自ら外に出る可能性は限りなく低い。

あと、何か考えられる選択肢は────。

────プロングズ達が危ない

頭を巡らせていると、シリウスがハッと顔を青くしながら言った。

「え?」
「ワームテールが今どこで何をしてるのかは知らない。でも、あいつ自身が"秘密"であることは確かなんだ。僕らが決して漏らしてはならない"秘密"が逃げ出した。どこへ行ったのか、誰も知らない。────ヴォルデモートの手に落ちていようがいまいが、"秘密"の手綱を放しちまった以上、今度危険に晒されるのは間違いなくプロングズとリリー、それからハリーだ
「────!」

そうだ、その通りだ。
ピーターの安否が気にならないわけではない。しかし秘密の守人として、覚悟を持って責を負った本人より、第三者の私達には守らねばならない"秘密の中身"があった。

ごめん、ピーター。今この時だけ優先順位をつけることを、どうか許して。
あなたがどこにいるかわからない以上、私達はまず、リリー達の安否を確認しなければならない。

私とシリウスは一瞬だけ視線を交わし、そして次の瞬間には同時にオートバイに乗り込んでいた。
向かう先は、ゴドリックの谷────リリー達の家だ。



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