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二人で暮らしてて、一緒に出かけるのは買い出しくらいで、寝るときは別の場所のはずなんだけど気がつくと一緒に寝てたりして、家事は分担してて、たまに遊びみたいなセックスをして、なんとなく側にいる。そんな関係をなんて言うんだろう。


「ヒモ」

「身も蓋もない!」


今日も雑賀先輩は容赦しない。まあそんな竹を割るような性格がいいんだけどね!


「生活費は全部お前持ちなのだろう?ならばヒモと呼んで問題あるまい」

「いや、まあ……そうですけど……」


なんだか抵抗感が無いのは、たぶんペット感覚だからだと思う。まあ最初、犬として拾ったんだし……。


「お前がいいならそれでいいさ。もし泣きたくなったら我らはいつでも付き合う」

「男前ですね……」


あのヘタレ狼に泣かされるなんてどんな場面だろう。ぐずる私の前を右往左往して、必死に慰めようとする男の姿がすぐに浮かんできた。





「こたつを出します」

「こたつ……!」


こたつの存在を知りながらも、元親は電気こたつは知らなかった。最初は「こんなちゃちなカラクリで……」と半信半疑だった彼も、30分しない内にこたつの魔力に敗北した。今は二人で直角に座って、ボーッとテレビを眺めている。今日は安いテーブルワインとつまみのチーズがこたつの上に並ぶ。


「あー……風呂、まだ沸かしてない……」

「今日はもういいだろ……」

「いや明日もあるし」


でもこたつ出たくないなあ、風呂沸かしに行かなきゃなあ……とぐだぐだ考えている内に元親が隣にすり寄ってくる。ネコみたい。


「俺、なまえの匂い好きだぜ」

「だから、明日あるって、」


私の首元に顔を寄せてくる元親は仕事の心配なんかしてくれてないだろう。それでも抵抗する気力すら無くて、惰性で彼の首へ腕を回した。

翌日、帰ってきてさすがにシャワーを浴びた。上がると元親がビールやらつまみやらを用意してくれていて、こたつにも入らずに甲斐甲斐しく雑用係をつとめてくれる。


「昨日の分の挽回?」

「まあ一応……反省したんだよ」


おかわりのビールを持ってきた元親は、少しバツの悪そうな顔だ。昔実家にいた犬を叱る気分を思いだす。犬というのは、叱られてちょっとばかししょんぼりしていても甘やかしてはいけない、が鉄則である。

しかし、ガタイのいい男がずっとしょぼくれているのを見るのもなかなかキツい。ついつい彼に手が伸びてしまう。


「強引になっちまったし」

「嫌だったらとっくに追い出してるけど」

「……そうかよ」


照れ隠しのように、元親は私を後ろから抱きしめた。そのまま、肩を甘噛みされて、


「さすがに二日連続はない」

「ぐっ……」


素直に私の言うことを聞く元親が可笑しくって愛おしくって、すぐに絆されてしまうのは承知している。



この関係をなんと言うんだろう。

ペットと飼い主か、友達か、セフレか。はたまたヒモか。


「恋人だろ」

「……元親のそういうところが好きだよ」


ただ、恋人は頭を撫でられても尻尾を千切れんばかりにふったりはしないと、思うけど。まあそんなことも好きだけど。



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