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したたかな女(白黒因子・昶)
※事後ネタ
まだ、起きてる?
ああ。
短く返事をした。
今、このベッドに潜っているのは自分と声を掛けてきた女だけだ。
くっついてもいい?
好きにしろよ。
やった、と少し弾んだ声がしたのち、背中に重みを感じる。
次に感じたのは、温度だ。俺よりも体温の高いコイツの指から、腕からじんわりと伝わる熱。抱きつかれたと同時に感じたやわらかさもあるが、それを意識したらきっとまた組み敷いてしまう。
ったく、わざとか。
それからボディーソープの匂い。俺もさっき同じものを使ったはずなのになまえから香ると別物みたいだ。
このままだと本当にまた抱きそうで、さっさと寝るのに専念しようとすると更に身体を押し当てられた。さっきからどういうつもりだコラ。
「オイ、なまえあんま胸当ててくんな……っ、襲うぞ……」
「わざとだよー、って言ったら襲ってくれない?」
脅しのつもりだったのにあっけらかんとした様子で言われ、拍子抜けする。なんだよ、我慢しようとしてた俺がバカみたいだろうが。
「俺の事誘うなんてずいぶん生意気になったじゃねえか、あとで泣いても知らねェからな」
「いいよ。全部、昶の好きにして」