▼ 遊星
「俺、遊星の手が好き」
「どうしたんだ、いきなり」
「男っぽい手してるよな。しっかりしてて大きくて」
「そうか?普通だと思うが…」
「まあ自分の手のことなんてあんまり客観的に見ることがないから分かんないと思うぜ」
「ああ」
「俺が好きなのは見た目だけじゃないんだ」
「?」
「遊星のこの大きな手はさ、D・ホイールを修理したりパソコンでプログラム作ったり。デッキからカードをドローしたり…そして絆を繋げてきた」
「…」
「ただ掴むだけじゃない。二度と離れないように壊れないように、しっかりと掴んで繋いできたんだよ」
「…」
「作る、直す、守る、繋ぐことができる…そんな遊星の手が好きだ」
「…じゃあ俺と名前を繋げているのも、この手があるからだろうな」
「え?」
「俺が伸ばした手を、名前は取ってくれた。この手がなかったら今の俺たちは無いだろう」
「そう、かもな」
「俺だって名前の手が好きだ。白くて細く、しなやかで…強くて優しい」
「?」
「収容所での鷹栖とのデュエル…、傷付きながらも最後までドローし続けたこの手。ラリーや龍亞たちを安心させる温かい手…俺も凄く心地いい」
「…なんかすげー恥ずかしいんだけど」
「(ちゅ、)」
「な、ななななっ…」
「何って手の甲にキスをしただけだが?」
「そーじゃなくて!何でキスしたんだって意味だよ!」
「手の甲にキスをする意味を知っているか?」
「テレビとか漫画とかじゃ見かけるけど、意味までは…」
「…知らなくていい、今はな」
「今はってどーいうことだよ遊星えええ!」
***
手の甲にキス…敬愛、尊敬
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