抱き締めて触れ合った部分から熱が伝染していく。
熱い。

「寝た方が、いいんじゃないか」
「……でも」

こうしてると落ち着くんです、と小さな子供のように頼りなさ気な声で云われると無理にベッドに寝かせることもできない。
先ほど測ったときとき熱は39度あった。幾ら普段から体温が高いといってもこれはさすがに、本来なら病院へ連れていくレベルだ。
汗が滲む首筋や顔を濡らしたタオルで拭ってやると気持ちよさそうに目を細める。

「苦しくないか」
「はい」

壁に背中を預ける俺の胸のあたりに顔を埋めている古泉は猫のように体を丸めていて、一見苦しそうなのだが本人はこの方が楽なのだと云い張る。
古泉がそうだと云うのならそうなのだろう。俺に出来ることはただ背中を撫でて汗を拭ってやることだけだ。

「キョンくん」
「なんだ」
「きょうは、とまってって」

体重を支えるためにベッドについていた手をぎゅ、と握って古泉が小さく呟いた。

「あぁ」

今までこいつは、一人で耐えていたのだろうか、孤独や不安に。
暗い部屋で蹲って泣いている古泉を想像してしまって思わず顔を顰めた。

「一緒にいてやる」
「よかった」

心底安心したように笑って、漸く訪れたらしい睡魔に攫われるように眠りについた古泉を抱き締めたまま、ぼんやりと過去の古泉を想った。





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