清々しいまでの晴れ。台風一過とは良く云ったものだ。日付が変わる頃から朝方に掛けて雷を轟かせ、看板や或いは屋根が吹き飛ぶほどに強い風を吹かせ、そして道路や公園が浸水するほどに雨を降らせ、そうしてゆっくりと北上していった台風4号。いや、5号だったか。忘れてしまったが、まぁソイツの所為でピーカンの今現在。
気温と湿度、俺の不快指数は何れも鰻登りである。あぁ暑い。
普段は汗も掻かず爽やかな笑みを浮かべている我がSOS団の爽やか担当であろう古泉も流石に眉を潜めている。それどころか微妙に額に髪が張り付き、首筋に汗が伝っている。あの古泉がだ。とはいえまぁ当然だろう。だって暑い。
本日の最高気温は29℃だと云うからうんざりする。心の其処からうんざりだ。こんなに暑いのにまだ六月だなんて、本格的な夏である八月はいったいどうなることやら。全く先が思いやられる。
そう云えばまだ扇風機を出していない。クーラーも掃除をしなければ使えないはずだ。今起動したところで淀んだ空気と埃を吐き出すだけだろう。一刻も早く掃除する必要がある。だがそれすら暑くて面倒だ。俺は動きたくないのである。
ふと見上げた空に浮かぶ雲はふわふわな綿あめを思い浮かべる形状で、白く大きく、やはり綿あめである。それ以外に形容すべき単語が思い浮かばん。しかしまぁ実に夏らしい空模様である。非常に憎らしい。
今年こそは夏祭りに行きてぇなぁ、と空を見上げたまま呟くと古泉は一瞬面食らった顔をしたが俺と同じように空を見上げ、そうですねと答えた。
嗚呼、夏が来る。






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