誕生日のプレゼントに何が欲しいか、なんて彼に聞いたのが間違いだった。

「縄が似合うな、古泉」

ベッドの上に転がされ手足を拘束されている僕を見下ろして彼が満足げに笑う。
僕の質問に彼は暫し逡巡したのち、可愛らしくお前がほしい、なんてのたまい、気付けばこの有様だ。

「尿道バイブとエネマグラ、どっちがいい」
「なっ……」
「どっちもイヤ、はなしだぞ」

サイドボードに並べられた尿道バイブにエネマグラ、そしてローターやバイブ。
選択肢を与えられたのは二つだけなのであとは彼の中で使用が確定しているのだろう。
最悪だ。
こんなことになるのなら大人しくプレゼントを買ってしまうべきだった。

「ほら、どっちがいい」
「っふ、ぅ」

微弱な振動のローターを乳首に押し当てられて思わず喘ぐと彼の表情に喜色が混じる。
早く選べ、といわんばかりに何度も何度も乳首ばかりを刺激されて、悲しいかな熱がどんどん溜っていく。
しかしある程度遊んだところで彼はローターを置いてしまった。

「ぁっ……」
「そんな物欲しそうな顔するなよ、あとでちゃんと弄ってやる」
「い、いりませんっ」

そうか?と首を傾げサイドボードから更に様々なものを取り出す。
洗濯ばさみのような形をしたそれは、以前一度だけ使ったことがある。乳首を刺激するためのローターだ。

「決まったか?決まらないなら両方使うか」
「いやです」
「じゃあ決めろ」

どっち、両手に尿道バイブとエネマグラを持った彼に迫られて仕方なく、エネマグラを選んだ。

「お前尿道バイブ嫌いだもんな。仕方ないか」

そう呟いて彼は何故かエネマグラを仕舞う。

「え、」
「お前の嫌いな尿道バイブにしよう」

選ばせた意味がないじゃないか、と思わずキレそうになった僕を誰が責めるだろう。
彼は嬉しそうに媚薬入りと表記されたローションを何の遠慮もなく僕の胸や既に勃起し始めているものににどばどばとかけた。
このローションも僕の嫌いなものだ。
即効性で、すぐにかけられた場所が熱くなる。彼がこれを使うということは、無駄に焦らされるということで。大抵の場合は淫語を泣きながら云わされてそれで漸く触れてもらえる。
最悪だ。

「は、ぁう……っ、ひ」
「相変わらず効くのが早いな」

嬉しそうに先ほどの乳首用ローターを乳首に装着してスイッチを入れた彼は、器用に尿道にもローションを流し込む。
もちろんここまでの間僕だって全力で抵抗をしていた。けれど手も足もしっかり縛られてしまっては殆ど動くことはできない。
つまりほぼ無意味だった訳だ。
開放されたくてたまらない熱が、どんどん蓄積されていく。触れられないから出すことは不可能だ。

「じゃあ入れるぞ」
「ぅ、あ……?」

何を、と聞く暇もなく彼が尿道にバイブを挿し込んでゆく。
ローションのお陰で引っかかることもなく、媚薬のお陰か痛みを上回る快感に僕は腰を震わせる事しかできない。

「ふゃ、や、はいっ……て……!」
「やじゃないだろ、ほら」

ぐじゅ、と音を立てて尿道のローターが根元まで入り込む。

「ぁ――、」
「トぶなよ」

前立腺を刺激されて、痛みなのかそれとも快感なのかすら分からなくなった僕を、彼はべしべしと叩いて起こす。
いっそ意識を失ってしまいたかった。
もう二度と彼の誕生日なんて祝いたくない。





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