僕は今、柄にもなく緊張している。
目の前には彼。不思議そうに首を傾げている。
あぁ、可愛いなぁ。なんて現実逃避。

「なぁ、話って何?」
「もうすぐ卒業ですね」

一緒に暮らしませんか、とは言いだせない臆病な僕は、遠回りをしてしまう。
彼は矢張り不思議そうな顔をして、そうだな、と頷いた。

「大学は皆さんバラバラですし、貴方との時間も減ってしまうと思うんです」

そう言うと彼はもう一度そうだな、と言った。でも表情は曇っていて。別れ話のようだ、と漠然と思う。

「なぁ、古泉」
「はい?」

不意に話しかけられ、我に返る。
彼は矢張り曇った表情のまま、僕の方を見て言った。

「卒業したら、一緒に住んでも良いか?」
「え?」

予想外の言葉に間の抜けた返事を返してしまう。
彼はそれを否定と受け取ったらしく、悲しそうな顔になった。

「だめ、だよな…。悪ぃ…」
「あ、いえ、違います!」

慌てて否定すると彼は驚いたような顔をした。

「その…、今まさに僕が言おうとした事を言われて驚いただけですから」
「ホントか?」
「はい」
「良かった…」

泣きそうな顔で笑いながら、彼は僕に抱き付いてきた。
胸に顔を押し付けて、思い切り深呼吸をしてから、彼は怒ったような拗ねたような声で。

「別れ話かと思ったぞ、ばか」
「すいません」
「…炬燵欲しい」
「是非!買いに行きましょう!!」

ぶは、と噴き出し顔を上げた彼は、ニヤリと笑って僕にキスをした。










  おまけ


(部室でイチャつくなんて二人とも良い度胸じゃない!!)
(すっ、涼宮さん!!聞こえます!!)
(…ユニーク)

と、まぁドアの外で見ている方々。
部活始まる前だったらきっとこんなん。