「最近盗み聞きを覚えたみたいじゃないか」
『は…?』

かと思えばいきなり本題、らしき言葉の切っ先にひとまず不審感。


「念の為言っておくが誤解をしているわけではないだろう?」
『誤解…?』
「あの場を収める為の建前でしかない。もし意図的に今の状況を避けていたなら」

困ったものだ、そう大したことでもないような言い方にまたイラっとした。


『なら…』

本音は?喉元までこみ上げたけど言葉になることはなかった。
ていうかかなり話すっ飛ばされたけどやっぱり平門にはバレていたらしい。

怖いんじゃない。だけどまた平門に説き伏せられるなんて目に見えているから。
そんなくだらない戯言に労力を使うなんて嫌だった。
悔しいけど平門にはどうしたって口で勝てる気がしない。


『もう、いい』

もうどうでもいい。もう平門の言葉に一喜一憂する自分が惨めでそれにすら腹が立つ。


「全く…世話が焼ける子どもだ」

子ども?世話が焼ける?


『…笑わせないでくれますか』
「笑わせたいと思うのか?」
『は…』
「いい加減に素直になれ、蒼」
『!』
「蒼、これ以上俺を苛立たせるな」
『何、言って』

寧ろそれはこっちが言いたいのに。ずっと立ち尽くしたままの私の前に歩み寄ってきたと思えば顔を覗きこむように顔を寄せてきた。距離の詰め方が本当におかしすぎる。


『そうやって…っ、誤魔化さないで』

いつもいつも、どうして…?こうすれば気が治まると思われてるなら心外すぎる。だけど平門の表情はなぜかそれだけとは思えない。少なくとも今の平門からは。


「誤魔化す?違うな」
『っ!』

「…こうやって、確かめているんだろう?」

なんか、いつもの平門じゃない。また流されると思って跳ね除けようとしたけど掴まれた手の力加減がいつもと違う。
耳の裏から項にかけて舐め降ろされる感覚にぞわっと粟立って、一体何を確かめたいのか分からない。


『やっ…ひら…んっ、』
「今日は自制するつもりはない」
『え…?』

じゃあ今までの行為は何だったのかなんて問うてる時間も隙もない。
ボタンを外されたそこから直に胸を触られてすぐに先端が固くなって執拗に弄ばれ始めた。

こんな触られ方、されたことない。焦燥感に苛まれる私を余所に躊躇いなく下着をずらされてそこから指を捻じ込んできた。


『ぁあんっ…!』
「濡れやすいな、蒼は」
『んんっ!…んぁっ、あっ…や、そこっ、やめ…っ!』
「ん…?」

…!

『―っ!あっやっ…め、もう…っ…!』
「あぁ、こっちだったか」
『ちょっ…!ぁっ、んぅっ…んんっ、』
「我慢強いのは結構。だが状況を読み間違えたな」

過敏になるだけだ、そうダイレクトに鼓膜に吹きかけられる感覚に中が大きく収縮した矢先にガクッと足元から崩れるのを読んでいたのかそのままソファに身を押し付けられていた。


Psychedelic
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