「…すご、寝付くの早」
「無理もないだろう。1ヶ月もまともに寝ていない」
「は?!」
「上手く顔色を隠している程度の化粧はするようにはなったと思っていたが目の色は誤魔化せない」
「本当よく見てるのね。関心するわよ…ていうかこの子本当屍みたいに動かないんだけど」
「……」
「ねぇ平門、アタシ達には話してくれてもいいんじゃない?」
「そう言いたいのは寧ろ俺の方だ」

え…?ていうか平門に呼ばれたと思ったら蒼が私を呼んだことにびっくりした。
それも手を握ったと思えば安心したようにすぐ眠っちゃった。平門がこの子を連れてきてだいぶ経つけど未だに謎だらけ、だけど


「実際まだ半分も聞き出せていない…本当に頑丈な口だ」
「寝れない理由くらいは知ってんでしょ?」
「…憶測だがほぼ確信はしている」


***

「…蒼、」
『…?』
「目、覚めた?」
『え、』

久々に聞く声、見る顔、景色…だけどそこはいつもの風景よりは明らかに暗くて、夜中だということに気付いた。
それに何故か嘉禄の膝で目が覚めたとか我ながら恥ずかしいし起き上がろうとしてみてもまるで力が入らなくて呑気に髪を撫でられている私。


「1ヶ月も逢いに来てくれないなんて酷いね」
『……』
「忙しかったのかな?それとも」
『!』
「俺に…逢いたくなかった?」

やたら笑顔が陰って見えると感じるのは瞬きをする間もなく顔をふっと寄せてきたから。
少し怖い、だけどここは夢の中だし本来の生身の私の側にはイヴァや平門が居るし不安になることはない。

だけど今日は何か、前よりも嘉禄のアクションが予測できない。


「何を考えてる?」
『え?』
「早く…離れたいって思ってる?」
『っ…!』
「だけどね、今日はそう簡単に逃がしてあげないよ」
『な…っ』

ていうか声、まともに出せない。言葉が詰まるんじゃなくて意志とは逆に言葉を発する瞬間に圧迫されるというか。


「昔みたいに…触ってもいい?」

その言葉と一緒にゾクっとするなんともいえない触り方をしてくる嘉禄に身の毛が弥立った。その触れ方で嫌でも分かる。触る意味即ち、


『んっ…!』
「覚えてないなら思い出させてあげる。俺と蒼は、」



***

「平門…!」
「どうした?目が覚め…」
「この子すごい汗…って、アンタ何し「黙ってろ」…!」

嘉録に会ったのは間違いない、だが様子が明らかにおかしい。


「…蒼」

そこで何が起きている…?


Psychedelic
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